ワコムは11月29日、新潟総合学園新潟医療福祉大学および、コクヨと、時計描画の筆記試験による認知症初期の簡易検査研究で協力していると発表した。
同研究は、コクヨの「電子下敷」と同社のデジタルペンにおけるノウハウを持ち寄り、被験者の手書きの筆跡を、デジタルで経時的に記録してデータベース化。新たに開発する検査用ソフトウェアで分析する仕組みを構築するもので、新潟医療福祉大学の児玉直樹教授がこれまで行ってきた認知症検査研究の実用化へ向けての進展が期待されている。
現在、運転免許証更新時の認知機能検査などで採用されている「時計描画試験/CDT」では、設問に対して被験者が回答用紙に答えを記述しており、どの程度正確に記述できるかによって、被験者の認知機能のレベルを計測している。
そのため、書き終わった「結果」だけが計測の材料となっているが、実際の検査では、被験者は常に一定ペースですべてを記述しているわけではなく、考えたり、迷ったり、書き直したりとさまざまな「経過」をたどって「結果」に至っている。
三者の協力による研究では、電子下敷を使って被験者の回答の「経過(過程)」も含めて記録したうえで分析。さらに、ペンの動き(筆圧、方向、速度)もデータとして捕捉し、はるかに多くの情報を用いてより精密な検査が可能になるという。
なお、コクヨの電子下敷は、同社の技術をベースとし、紙の帳票に手書きで記した内容を瞬時にデジタルデータに変換、コンピューターで処理できる入力支援ツール。「紙に書く」という、これまでと同じ作業で検査を行うため、この方法を導入した場合でも、被験者側の作業には変更はないという。
一方、検査者側では、計測・判断に必要となるさまざまな情報を簡単に取得できるようになる。
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