スマートフォンの世界では、アウトカメラ(背面カメラ)の多眼化がトレンドだ。ハイエンドモデルでは2眼カメラは当たり前になっていて、3眼カメラを搭載するファーウェイの「Mate 20 Pro」「P20 Pro」、4眼カメラを搭載するサムスン電子の「Galaxy A9」も登場した。さらに、ソフトバンクが出資したLightの16眼カメラ「L16」といったデバイスまで存在する。
これに対し、LG Electronicsは1台のデバイスに搭載されている複数カメラで撮影した動画を合成して活用する技術を考案。この技術を米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間11月20日に「MOBILE TERMINAL AND CONTROL METHOD FOR THE MOBILE TERMINAL」(特許番号「US 10,135,963 B2」)として登録された。出願日は2014年4月15日、公開日は2016年8月4日(公開特許番号「US 2016/0227016 A1」)。
この特許は、タッチ操作可能な画面を備えるモバイルデバイスにおいて、複数のカメラで撮影した動画を合成する技術を説明したもの。カメラの数は2つ以上としているが、第20クレーム(請求項)で16個という具体的な数字に言及している。
複数のカメラは、同時に動画を撮影できる。ユーザーは、画面に表示されたあるカメラで撮影した動画に対し、タッチ操作で動画の一部を選択し、特定領域をデバイスに認識させる。その後、ユーザーがほかのカメラで撮影した動画を選ぶと、デバイスは最初の動画の特定領域と、別の動画の該当する領域とを入れ替えて合成し、新たな動画として出力する。
各カメラはデバイスの異なる位置に取り付けられているため、動画撮影時の角度はそれぞれ異なり、視差が生ずる。その結果、動画を合成すると選択された特定領域の角度もオリジナルの動画から変わる、という効果が得られる。
なお、クレームでは言及されていないが、実施例には、各カメラの取り付け角度を変えておくことで視差を大きくするアイデアが説明されている。
なお、特許とは、技術的アイデアの権利保護を目的とした公的文書である。登録されて成立しても、実際の製品やサービスで利用されるとは限らない。さらに、アイデアの存在を公知の事実にする目的で出願され、登録に至らず公開止まりになるものも少なくない。
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