テレビ東京とNTTドコモは、5Gを利用して、VR空間内で離れた場所にいる人たちと一緒にスポーツ観戦できる「VRソーシャルビューイング」の実証実験を、大阪で開催された「柔道グランドスラム2018」の会場で実施した。
VRソーシャルビューイングは、VR空間内でスポーツを観戦しながらパブリックビューイングのように他のユーザーと一緒に盛り上がれる新しい観戦スタイル。
今回の実験では、テレビ東京が放送する16台のカメラによる試合映像を、ドコモが開発した「VRアバターコミュニケーションプラットフォーム」で5Gを使ってVR空間内のスクリーンに配信。Oculas Goにマイクとヘッドホンを装着したユーザーがアバター(今回はロボットのキャラクター)を動かして、好きな位置から見たり、視点を切り替えて楽しんだりできるようにしていた。
VR内では進行役のタレントとVTuberや他のユーザーと音声でコミュニケーションでき、その様子がサブ番組として動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で同時配信された。
設備は5G基地局をはじめ、16台分のカメラ映像を確認するモニターや、テレビとVR内の音声を調整する機材などが使われていた。
実際にVRを体験してみたがスクリーンではTVと同じ品質で、画面に近づいたり斜めからでもちゃんと試合中継が見られた。Vtuber以外のキャラクターやVR空間内があまり作り込まれていないのは寂しかったが、その分、スクリーンは見やすかった。移動のコントローラも慣れるまで操作に手間取ったが、音声や会話はノイズや遅延もなく聞こえるため、コミュニケーションはそれなりに楽しめた。
ドコモによると、5Gの実用化が始まる2020年には基地局は大幅に小型化され、中継しやすくなるという。映像も今回はテレビ放送用のものをそのまま使用したが、360度やアクションカメラの映像を組み合わせるのは技術的には可能だ。また今回の実験とは直接関係ないが、AI搭載の8Kカメラシステムで映像内の人物を自動検出する実験も行われ、今後の開発に取り入れるかどうかを検討する。
演出についてはさらに実験を重ね、スポーツ以外のエンターテインメントやビジネスなどへも活用を拡げる。2025年の開催が決まった大阪万博でもVRを駆使したさまざまな演出が予定されており、7年後に驚くようなサービスが実現されることに期待したい。
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