3ワードアドレスでは、短く、一般的に使われていて、覚えやすい単語を選んで使用している。例えば英語版では4万語を使用している。4万の3乗が64兆になるため、57兆の地点を特定するには十分だという。
ただし、失礼な言葉など、人を不快にさせる言葉は使わないようにしているという。例えばアラビア語版では、イスラム教が飲酒を禁じているため、アルコール関連の単語を除外しているという。Jones氏はアルゴリズムに従って機械的に割り当てながら、人間が配慮しながら手動で割り当てている部分もあると語った。
また、同じように聞こえる単語を使う場合は、それぞれが指し示す地点をかなり離すようにしている。例えば「notes」「written」「lavender」の3語が示す位置は日本の東京都内になるが、「note」「written」「lavender」はトルコのイスタンブール、「notes」「written」「lavenders」はブラジルを指すように、似通った言葉の組み合わせが指す地点はバラバラになっている。こうすることで、ちょっとした単語の覚え間違いで、目的の位置を誤ることがなくなるという。
Jones氏はほかにも、地図情報やカーナビゲーションシステムを提供しているオランダTOMTOMや、配車サービスを提供しているスペインCabify、米国のDomino Pizzaなどの企業が自社のサービスや製品に3ワードアドレスを採用していると説明した。そして、今後は自動車、宅配、流通といった業界への進出が期待できるとした。
what3wordsは宅配業務に3ワードアドレスがどれほど役立つかを確かめるために、ロンドンで検証を実施したという。2社の宅配業者に20個の荷物を預け、一方には従来の住所を使ってもらい、もう一方には3ワードアドレスを使ってもらったところ、3ワードアドレスを使用した業者の方が、宅配にかかる時間を30%削減できたという。さらに、旅行業界での活用も期待できると考えているという。
現在のところ、what3wordsは黒字ではないが売り上げは上がっているという状態だ。上述のような、業務に3ワードアドレスを活用している企業から使用料を得ているが、自然保護や人命救助などの用途で使用する団体には、人道的見地から無料で使ってもらっているという。
また、ホテルや企業が所在地を3ワードアドレスで表記し、宣伝するなどの用途では、3ワードアドレスの露出を増やしてより多くの人に認知してもらう目的で、やはり無料としているという。現在は、ビジネス、人道的貢献、3ワードアドレスの露出のバランスを取りながら事業を進めているという。
現在のところwhat3wordsは2次元の位置情報に注力しているが、今後は有名な高層ビルの各フロア内の位置や、地下鉄の歩道などの位置を示すシステム、つまり3次元への展開も世界各地域を対象に検討しているという。ただしJones氏は、3次元で位置を示すには3ワードでは足りなくなるため、何かを追加する必要があるだろうという見通しを示した。
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