Facebookのライバルに対して否定的な情報を拡散していたとされるPR会社が、Facebookに雇われており、この件の責任を取る形で、同社のポリシーおよびコミュニケーション責任者が辞任していたことが判明した。
この人物は、6月に責任者の職を辞したものの、その後も幹部の相談役としてFacebookにとどまっているElliot Schrage氏だ。そのSchrage氏が、PR会社のDefiners Public Affairsと契約した責任は自分にあると、Facebookの社内メモで認めていたことがわかった。この契約が結ばれたのは2017年で、ちょうどFacebookが同プラットフォーム上でのロシアによる干渉の問題の収拾に追われていた時期だ。
Definersのウェブサイトによると、同社は政治キャンペーンの手法を使って企業の広報活動を支援している(同社を設立したのは、かつて共和党のキャンペーンを担当したMatt Rhoades氏とJoe Pounder氏)。また、クライアントに対する「敵対者、競争相手、扇動者」の身辺調査も行うとしている。
FacebookがDefinersとの契約で非難されるようになったのは、New York Timesが米国時間11月14日に報じた記事がきっかけだ。その記事によると、Facebookはロシアによる選挙干渉の問題から「世間の目をそらし」、Facebookに批判的な人たちに関する扇情的な情報を記者やメディアに広めるために、Definersと契約したという。
Schrage氏の社内メモについては、TechCrunchが最初に報じ、現在はFacebookの広報ページに掲載されている。このメモの中で同氏は、FacebookがDefinersと契約したのは、Facebookがロシアによる干渉を防げなかったことに関して、圧力が「急激に」高まった時期であることを認めた。ただし、メモは、Facebookが「虚偽のニュース」を広めるためにDefinersを利用した事実はないと主張している。
「われわれはDefinersに対し、PR会社がクライアント企業を支援するために通常行っている取り組みを実行するよう依頼した。具体的には、関連記事の検索と提供、調査の実施、情報伝達に関する書類の作成、メディアへの働きかけなどだ」とSchrage氏はメモに記している。
「こうした取り組みの一部が、敵対者に対する身辺調査だとみなされている。だが、当社に批判的な人々について、その素性や、利害が対立するおそれがある点を把握せずにおくことは、逆に無責任でプロ意識に欠ける行為だと私は確信している」(同氏)
Schrage氏はまた、リベラルな投資家でFacebookを厳しく批判していたGeorge Soros氏に関する情報を依頼していたことを認めながらも、これは公開されている情報をまとめたものにすぎないとした。
New York Timesの報道によると、Facebookは11月15日にDefinersとの契約を解除している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」