フォードの自動運転車をフロリダで体験--「技術より人」目指すリアルな現在地 - (page 2)

Tim Stevens (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2018年11月28日 07時30分

 答えはもちろん、ディスプレイを通じてだ。Argoのシステムで使われているのは、いわゆる「状況認識ディスプレイ」で、フロントシートの背に掛かっていて、LiDARスキャナで生成される3Dポイントクラウドの簡略版が表示される。このシステムによって、AIドライバーは周囲の車や街路樹、歩行者を識別し、「ご心配なく、任せてください」と言えるような状態になる。ディスプレイには、前方の交通標識や信号も写され、方向指示器が指している方向までハイライトで示してくれる。

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提供:Nick Miotke/Roadshow

 こうしたディスプレイは実際の乗車時には不可欠だが、筆者が乗った自動運転車には、オペレーターが1人でなく2人も同乗していたおかげで、より直接的に、車の動作に関するフィードバックを得ることができた。

自動運転車のふたり

 現在、FordとArgoによる自動運転車には必ず、1人ではなく2人の人間が常時同乗する。運転席にはセーフティオペレーターが、ハンドルのすぐ近くに手を添えて座り、いつでも運転を引き継げるように備えている。

 助手席には控えの運転手が座る。センサからの情報をリアルタイムで監視しながら、人の介入や、車内の気になる動作など、いろいろな経過をひっきりなしにノートPCに打ち込んで記録している。この2人の乗員が、車の所定の動作を監視し、不測の事態が発生しそうな場合には介入する。実際、セーフティオペレーターは、迷うことなく介入するよう指示されているところが注目に値する。

 Ford Autonomous Vehiclesのプレジデント兼最高経営責任者(CEO)、Sherif Marakby氏は、次のように説明してくれた。「われわれは、人の介入を全く違う観点から見ている。良いことだと考えている。その際のデータを記録してシミュレーションにかければ、路上でリスクを冒さなくて済む。コンピュータ上でできることなのだ」

 この点は、自動運転車を競うメーカーの大半が、人間の補助なしにどこまで走行距離を伸ばせたかという記録を誇っているのと対照的だ。Marakby氏によると、そうした競争は見当違いだという。「走行距離や1kmあたりの介入の回数などを表す指標は無数にあり、皆こうした指標に依存している。高速道路に入って介入なしに走ることはできるが、それに何の意味があるというのか。それでは、当社が目的とすることを成し遂げられない。われわれのやり方なら、それができる」

 これは、FordとArgoが安全性を特に重視していることを示すものだが、Fordの技術がまだ成熟していないという証でもある。

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提供:Nick Miotke/Roadshow

乗車体験

 いざ出発してみると、走っているときの感じは普通の乗用車とほとんど変わらない。自動運転車は、システムごとに性格の違いが感じられて実におもしろい。慎重にゆっくり走るタイプもあれば、果敢に攻めるタイプもある。FordとArgo AIが開発中のシステムは明らかに後者だ。少なくとも、何回かはそう感じた。

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