Gincoは11月13日、LongHashとパートナーシップを締結し、ICカード型ハードウェアウォレット「Kinco」を共同で開発したと発表した。2019年上半期での販売を予定しており、価格は今のところ未定だ。
仮想通貨などのデジタルアセットの管理には、資産にひもづく秘密鍵をユーザー自身のウォレットで管理する必要があるが、オフラインで資産へのアクセスをシャットアウトできるハードウェアウォレットの堅牢性と、サービスに接続しやすいモバイルウォレットの利便性はトレードオフの関係にあったと同社では説明。
今回のパートナーシップの締結により、LongHashが支援するWOOKONGのハードウェアウォレット開発技術と、Gincoアプリケーションを連携。ハードウェアウォレットのインターフェイスとしてGincoを使用し、堅牢性と利便性を兼ね備えたICカード型仮想通貨ウォレット「Kinco」を開発した。
Kinco内の資産はGincoのポートフォリオ機能と自動的に連携し、アプリ内から常にチェックすることが可能。また、資産を移動する際はGincoのUIをそのまま利用でき、これまでのハードウェアウォレットと比べて優れた操作性を実現しているという。
同社によると、従来のハードウェアウォレットの多くは、秘密鍵の保管に特化しており、送金時にはインターネットに接続されたPCを介して、秘密鍵でトランザクションを署名する。このため、PCがマルウェアなどに感染していた場合、トランザクションが書き換えられる可能性などが問題視されてきたという。
Kincoでは、ICチップ内で「乱数に基づく鍵生成」「仮想通貨用のウォレットアドレス生成」「トランザクションの署名(暗号化)」を実行し、資産の移動に関する重要な処理をウォレット内で完結している。Kincoには薄型のバッテリが内蔵されており、Bluetoothでウォレットとスマートフォンを接続。オンライン端末との接続時には、指紋による生体認証を設定でき、ウォレット内部への干渉を防げるという。
カード型を採用した理由として同社では、ICカードを使用した仮想通貨のユースケースを増やしたい(現在ICチップの端子は充電端子として使用)ほか、クレジットカードやキャッシュカードなど資産を扱うデバイスとの親和性を考慮したという。また、これまでハードウェアウォレットを実店舗で使う場合、PCを持ち運ぶか一度ウォレットに送金して支払う必要があったが、Kincoでは、スマートフォンと接続することでシームレスに送金できるため、ハードウェアウォレットとしての新しい使い方も可能だとしている。
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