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シャープ戴社長兼会長が重視にするビジネスの基本「六流」とは

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 シャープ 代表取締役会長兼社長の戴正呉氏は10月30日、社内イントラネットを通じて、社長メッセージを配信した。

 ほぼ月1回のペースで定期的に配信しているもので、今回は、2018年度上期決算発表日にあわせて社長メッセージを配信。「最先端の独自技術と“One SHARP”の総合力で、事業拡大スピードを加速しよう」というタイトルを掲げた。

「量から質へ」の取り組みは着実に進展

 メッセージの冒頭では、10月24日に発表した上期業績予想の売上高を下方修正したことや、この日、決算説明会を開催したことに触れ、「台風による影響などもあり、上期売上高が公表値未達となったことは非常に残念である。だが、利益は期初の予想を上回っており、私は『量から質へ』の取り組みが着実に進展していると前向きに受け止めている。今後も引き続き、当社の付加価値を認めていただける受注を積極的に獲得し、適正な利益を創出していく方針である。年度目標の達成に向け、全社一丸となって取り組んでいこう」とした。

 今回の社長メッセージで、最初のテーマにあげたのが、「『質』の徹底追求」である。

 戴会長兼社長は「今回発表した売上高の下方修正の大きな要因のひとつが中国事業である。これまで中国では、鴻海グループの販売会社である『富連網』の主導のもと、ハードを安価に提供し、サービスで収益を得るというビジネスモデルに沿って、価格重視の事業展開を進めてきた。その結果、テレビ事業を大幅に拡大するとともに、300万人を超える規模のメンバーシップを構築することができた。だが、この価格重視の事業展開が想定を超えるブランドイメージの低下を招き、結果的に白物家電事業をはじめとしたさまざまな事業を本格展開する上で、大きなハードルとなっていることも事実である。こうした理由から、前回のメッセージでも話した通り、私が総責任者として中国事業を再構築することを、9月27日に中国・深センで行った記者会見で表明した。これは、中国はもとより、日本でも、テレビや新聞において、『シャープ、中国本腰』と取り上げられるなど、大きな反響があった。その後1カ月をかけて、各事業本部の関連部門や鴻海グループのメンバーとともに、具体的な戦略を策定し、いよいよ実行フェーズへと入っていくことになる」とした。

 さらに「シャープが、中国でさらなる成長を実現するために最も重要なことは、シャープブランドをリブランディングし、『技術のシャープ』を、確固たるものにすることである。この実現に向け、まずは『質』を徹底的に追求する。つまり、本当に使いやすい商品、競合や市場のトレンドに影響されず、長期間にわたって使用していただける商品の創出に、全力を挙げて取り組んでいく」と述べた。

 ここでは、具体例としてテレビ事業をあげ、「8Kを中心とした高画質、大画面といったハードウェアの差別化に加え、AIやIoTを活用するなど、ソフトウェアを徹底的に強化していく。また、中国で本格展開を急ぐ白物家電事業においても、空気清浄機や小型家電、美容家電などを中心に、IoT対応をはじめとしたフラッグシップモデルを次々と投入するとともに、これらを軸に幅広いラインアップを構築し、本格的に事業を立ち上げていきたい」とした。

事業運営の基本となる「六流」とは

 また、「シャープの技術力を、広く認知してもらうためには、PR活動も積極的に展開していかなくてはならない。10月26日には北京で新製品発表会を開催し、11月2日には成都でも大西部発表会を開催するなど、私自らが先頭に立って、積極的にシャープブランドの素晴らしさを発信していく。こうした取り組みを通じて、まずは再成長に向けた足がかりを構築し、そして、再び『量』の拡大に挑戦していきたい。これは私の強い決心である」と強い意思をみせた。

 戴会長兼社長は自らの経験から「中国事業の変革は、今後3カ月が勝負」とし、「いま一度、SHARPブランドを、自らの手で磨き直し、いままで以上に価値あるブランドへと育てていこう」と呼びかけた。

 

 2つめのテーマは、「六流」とした。「中国において再成長戦略を推進する上では、『量から質へ』の転換に加えて、効率的で規律ある事業推進体制を構築することも重要。この実現に向け、“六流”の観点からビジネスプロセスの抜本的見直しを進めていく」と前置きし、「六流」について説明した。

 戴会長兼社長によると六流とは、事業運営の基本となる「人流」、「物流」、「金流」、「訊流(情報)」、「過程流(サプライチェーン)」、「技術流」の6つを指すという。

 「開発から生産、販売に至るまでの一連の事業活動のなかで、この6つの流れを確実に押さえることが、的確な経営を行う上で極めて重要である」とする。

 そして、それぞれを次のように解説した。

  • (1)人流:組織の役割や責任の所在を明確化し、ルールに従って業務を遂行する
  • (2)物流:倉庫を効率化、輸送ルートを最適化し、コスト削減及びリードタイムの短縮を図る
  • (3)金流:コスト構造を細分化し、木目細かな管理を行う
  • (4)訊流:顧客情報や販売情報、生産情報等の一連の情報を一元化し、常に最新の情報を把握する
  • (5)過程流:データに基づきサプライチェーン全体を最適化し、無駄を最小化する
  • (6)技術流:技術動向を分析し、新市場を創造する開発戦略を立案する

 戴会長兼社長は「これは、中国事業に限らずすべての事業に通じるものである。各組織のリーダーは、日々の業務のなかで“六流”をしっかりと押さえ、ビジネスプロセスの改善に取り組んでほしい」と要望した。

「dynabook」を再びグローバルトップブランドの座に返り咲かせる

 3つめのテーマにあげたのが、「dynabook」だ。シャープは、10月1日付けで、東芝クライアントソリューション(TCS)の株式の80.1%の取得を完了。TCSがシャープグループに加わった。メッセージのなかでは「新たな仲間を迎えるにあたり、心から歓迎の意を表する。これからシャープグループの一員として、ともに頑張ろう」と呼びかけた。

 その上で「私は、10月12日に東京の豊洲にある本社を視察した。今回の視察では、中期的な経営戦略や今期の計画、足元の業績などについて、経営幹部と議論した。ここでは、2018年度下期中に構造改革を必ずやり遂げ、黒字化を達成するとともに、将来に向けた布石を打ち、2019年度からは成長軌道へと転換していくことを確認し合った」とした。

 また「具体的な経営方針については、11月下旬に開催予定の記者会見の場で、TCS 代表取締役社長CEOの覚道清文氏から発表してもらう」と前置きし、「この経営方針の要となるのが“One SHARP”である」と位置づけた。

 戴会長兼社長は「“One SHARP”には2つの意味がある」とし、「1つは、全社の経営資源を有効活用し、経営効率の向上を図ること。この方針に沿って、両社が国内外に保有する複数の営業およびサービス拠点の統合について検討を開始した。また同時に、経営管理手法やITシステムなどの経営インフラの統一、さらには成果を上げた社員に充分に報いる信賞必罰の人事制度の導入などにも着手している。もう1つは、事業間の連携強化により、シナジーを最大化し、事業を拡大することである。成長軌道への転換に向け、両社の販路の相互活用や技術の融合を加速していこう。“One SHARP”によって、ともに力を合わせれば、必ず早期黒字化を達成できる。そして近い将来、“dynabook”を再びグローバルトップブランドの座に返り咲かせる」と宣言した。

 4つめのテーマは、10月16日から開催された「CEATEC JAPAN 2018」である。シャープは、CEATEC JAPAN 2018で最大規模のブースで出展。「8Kテレビの映像に圧倒された」、「シャープのAIoTは、家と社会システムまでを連携しながら人と暮らしに寄り添っていると感じた」といった、シャープブースを訪れた来場者の反応に触れる一方で、世界初の8Kチューナ内蔵液晶テレビ『AQUOS 8K AX1シリーズ』が、CEATEC AWARD 2018のトータルソリューション部門でグランプリを受賞したことを紹介。「シャープの8Kが、3年連続で栄誉ある賞を受賞できた」と喜んだ。

 戴会長兼社長は、AQUOS 8K AX1シリーズは、液晶パネルやチューナに加え、画像処理エンジンも自社開発した世界初の8Kテレビであり「まさに“One SHARP”の結晶であり、“Be Original.”を体現する商品」と評価。「この2年間で、当社は数多くの世界初、業界初を生み出してきた。今後もこうした商品やサービスを次々に創出し、“Be Original.”の歴史に新たなページを刻んでいきたい」と述べた。

「CEATEC JAPAN 2018」のシャープブース
「CEATEC JAPAN 2018」のシャープブース

 メッセージの最後には「事業環境は、ますます厳しさを増している。こうしたなかで、持続的成長を実現していくためには、社員全員が自部門の業績を常に意識し、より強い危機感を持って業務に取り組むことが肝要である。今後は、各部門の業績評価を、所属員全員の処遇に色濃く反映し、よりメリハリのある信賞必罰を実施する。次回の冬季賞与では、各部門の上期業績に、足元の業績見込みを加味して評価する。上期業績が奮わなかった部門の社員も、まだまだ挽回ができる。一層の奮起を期待する」と締めくくった。

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