グリーは10月26日、2019年6月期第1四半期(2018年7~9月)の連結決算を発表。売上高は181億5700万円(前年同期比で16%減)、営業利益は16億1600万円(同40%減)、経常利益は21億6600万円(同28.2%減)、純利益は20億8300万円(同9.4%増)となった。
四半期ベースでは、売上高8億2000万円減、営業利益は1000万円増、経常利益は2億4000万円増、純利益は31億6000万円増となった。売上高の減少はゲームタイトルの周年イベントが多かった前四半期からの反動。広告宣伝費の効率的な投下によって変動費が減少し、営業利益はほぼ横ばいといった形となった。
主力のゲーム事業では、WFSが開発した新作「ワイルドアームズ ミリオンメモリーズ」が、9月26日からサービスを開始(配信元はフォワードワークス)。また海外展開については、「DanMachi - MEMORIA FREESE」(国内名「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか~メモリア・フレーゼ~」)を北米に続き、韓国、台湾、香港にて10月25日から配信を開始した。北米では事業パートナーとの配信だが、今回は自社配信としている。
2019年度は海外展開を本格化する方針で、グリー代表取締役会長兼社長の田中良和氏からは、自社配信でうまく展開できれば利益率が高くなるといった背景もあり、DanMachiの韓国等での自社配信を確認しつつ、他タイトルでも繋げていきたいという考えを示した。
近年力を入れているライブエンターテインメント事業においては、VTuber専用ライブ配信プラットフォーム「REALITY」を、8月7日から配信を開始。取締役上級執行役員の荒木英士氏は「VTuberの生配信番組を毎日行っている会社は、おそらくまだない。それだけ失敗もしているが、このジャンルが拡大していくために必要な技術と番組企画といったノウハウの知見が溜まってきている」と説明。またREALITYにおけるいくつかの番組においては、自社観測の範囲としながらも、VTuber出演番組におけるギフト収益が史上最高額を出したと思われるものもあったとし、事業展開が着実進んでいると語った。
質疑応答のなかでは、「アナザーエデン 時空を超える猫」において、ガチャの不具合があったことについての説明もあった。荒木氏によれば、特定のガチャの仕組みにバグがあり、本来の排出確率よりも特定の高レアリティのものがたくさん出てしまうものがあったという。これに対して原因特定にいたらず、根本的な改修はせずに不具合とみられるほど同じキャラクターが多く排出された際は、再抽選の仕組みを採用することで、ユーザーに明示している確率に合わせたという。これは2017年の段階で行われている。
荒木氏は問題点として「確率操作と呼ばれても否定しづらいような処理を入れ、その存在が1年ぐらいわかっていなかったこと。そして本来検知されるはずの修正が検知されなかったこと」と指摘。社内ではゲーム開発部門とは別に、ガチャの表示や確率、ユーザーに対しての説明に齟齬がないかを検査する部門があるのだが、開発側は不具合の改修という認識で進めてしまい、検査部門を通らなかったと説明した。
再発防止策としては、本作に限らず全社的にガチャに関する処理に変更を加える場合は、不具合だけではなくテキストの変更のようなことでも、実装する内容について事業責任者、場合によっては役員までエスカレーションさせていくとのこと。そして独立した検査部門でチェックするというプロセス面での改善を行い、あわせて開発現場の認識や知識レベルを上げる研修や啓蒙活動などを行っていく予定としている。
取締役上級執行役員の大矢俊樹氏は、この件については消費者庁からの問い合わせがあったこと、そして現在は質疑応答を重ねている段階であることを明かした。大矢氏は同社の見解として、アナザーエデンにおける全期間のガチャ提供結果の割合を調査したところ、ゲーム内の表示通りの提供割合が統計として出ているとし「景品表示法上の違反をしているわけではないという認識」と説明した。
2019年6月期第2四半期の業績予想として、売上高は170~180億円、営業利益は10~15億円、経常利益は10~15億円、純利益は5~10億円としている。業績予想に振れ幅を持たせているのは、主力のゲーム事業の特性に加え、第2四半期は海外自社配信も行うことのためと説明した。
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