ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)は10月23日、ソニーのICカード技術を応用した非接触ICカード型の「仮想通貨ハードウェアウォレット技術」を開発したと発表した。
現在、多くの仮想通貨ユーザーは、仮想通貨を購入した取引所などのオンラインウォレットを利用して取引している。しかし、ユーザーは仮想通貨そのものを保有しておらず、その仮想通貨を自由に取引できる秘密鍵を所有している。秘密鍵さえあれば、鍵に関連付けられた仮想通貨を自由に使用できるため、仮に秘密鍵を他人に知られた場合は、自由に使用できる仮想通貨が流出するリスクがある。
取引所などのオンラインウォレットでは、秘密鍵を取引所の運営者が管理しており、ユーザーは秘密鍵を管理しているウォレットにアクセスしているだけだ。オンラインサーバが不正アクセスを受けて秘密鍵が流出した場合、ユーザーが保有する仮想通貨を他人に使われてしまうリスクがある。こうした秘密鍵の流出リスクを避けるため、秘密鍵をオンラインネットワークから独立した状態で安全に保存するデバイスがハードウェアウォレットとなる。
同社では、ソニーで長年培った非接触型のICカード技術を応用して、ICカードハードウェア関連技術と相互認証・暗号通信技術を含む「仮想通貨ハードウェアウォレット技術」を開発。USBでPCと接続する既存の代表的なハードウェアウォレットと異なり、ICカード型のハードウェアウォレットは小型で持ち運びやすく、利便性の高さが特徴だという。信頼度の高い耐タンパー性のあるICカード内モジュールで安全に秘密鍵を生成・保存可能としている。
今回開発した技術は、秘密鍵の管理だけでなく、ブロックチェーン技術を応用した個人情報管理システムにおいて、ユーザーが個人情報の利用許諾をするために使用する秘密鍵の管理など、さまざまなアプリケーションへの応用が可能という。同社は、仮想通貨をはじめとしたデジタルアセットを安全に取引できる「仮想通貨ハードウェアウォレット技術」の事業化に向けた取り組みを進めるとしている。
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