SNSの登場以降、そのコミュニケーション手法は日進月歩で変遷を遂げている。ツールを利活用する世代によっては、直接コミュニケーションする電話やメールなどはすでに過去のツールになりつつある。ユーザーが利用するコミュニケーション手法への感度が低い企業は、最悪、時代の波に取り残され淘汰されかねない――。
そう警鐘を鳴らすのは、不動産業界に特化したチャットツール「アトリク」提供するサービシンク代表取締役社長の名村晋治氏だ。10月4日に開催された「CNET Japan Conference 不動産テックカンファレンス2018 ~加速する業界変革~」において「不動産取引における次世代のコミュニケーション~電話・FAX・メールの次の手法が築く不動産情報の未来~」と題した講演で、コミュニケーション手法の最適化は不動産業界においても同様だと訴えた。
壇上に立った名村氏は、不動産取引における次世代のコミュニケーションを考える上で、(1)インターネットを用いたコミュニケーションの変遷、(2)家余り時代を見据えた不動産営業の大変革、(3)情報の探し方のこれから、(4)勝ち残っていくために必要なコミュニケーション手法、という4つの流れに沿って講演を進めた。
ご存知の通り、20~30代が利用するコミュニケーションツールは、LINEやInstagram、FacebookやTwitterなどに代表されるSNSサービスが中心だ。また、情報を得る際のマインドも検索エンジン経由の情報から、SNSに投稿された“人からの情報”へとシフトしてきていると名村氏は話す。この現状を鑑みると「SNS対策に乗り出さねば乗り遅れる」と考えてしまいそうだが、名村氏は「それは早計かもしれない」と言う。
米国での調査によると、調査対象の54%がスマートフォンの利用時間が長すぎると感じており、52%はその利用時間に制限を設けたいと考えているという。最も興味深いのが、過半数を超える57%のユーザーがSNSの利用時間を減らしたいと考えている調査結果だろう。日本の“数年先の未来の姿”の一端を垣間見ることができる米国の調査結果から、SNSの利用すら減少する可能性も視野に入れておく必要があると説いた。
SNS離れが訪れるかもしれない。そういった状況を踏まえた上で、消費構造の変化にも注意を払う必要があるという。「不動産業界では起きていないが、他の業界では起きている現象」と名村氏が紹介したのが、書籍販売の現場における消費構造の変化だ。実店舗で目の前に気になる書籍があるにも関わらず、そこで購入せずに自宅へと戻ってからネット通販で購入するのだという。
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