また、「これが一番ショックだった」と名村氏に言わしめたのが結婚式場での写真撮影の現場で起きている変化だ。カメラマンが新郎新婦はもちろん、列席者の笑顔を探しながらシャッターを切るのが今までの常識だったが、最近ではAI搭載のカメラを式場内に複数設置し、笑顔を検出して自動で撮影しているのだという。アナログな要素に頼った業界に迫り来る危機的状況は、その機微をいち早く察知し対応してゆかねばあっという間に時代に取り残されてしまうリスクを孕んでいると警鐘を鳴らした。
不動産業界におけるユーザーとのコミュニケーションについても変化の波は着実に迫っているという。今までであれば、電話でのコミュニケーションが主流であったが、最近では電話帳に登録していない発信者番号からの電話には出ない人も多く、コンタクトの機会を逸してしまうケースもある。また、対面でのコミュニケーションよりもユーザーの都合で応対できるメールなどのコミュニケーションを求める人が増加しているという。
ユーザーの情報収集にまで話はおよぶ。検索エンジンからSNSなどで情報を得るスタイルへと移ったことにより、ユーザーが情報に接する機会に変化が訪れている。SNSで用意されている「いいね」などの機能を用いることで、ユーザーは取得する情報を自ら操作していると話す。欲しい情報を自分で操作している今の時代、企業による情報発信は“発信しているだけで顧客に届いていない”可能性も考慮しなくてはならないのだ。
ドラスティックに変遷していくコミュニケーションや情報収集に関する流れを踏まえ、サービシンクが打ち出した解決策として紹介されたのが不動産業界特化のチャットツールであるアトリクだ。iOSアプリとして提供されているアトリクは、ユーザーとオンラインチャットでコミュニケーションを図ることができ、電話やメールでは不確実だったやり取りを、ユーザーのタイミングで確実性高く行えるようになる。
「紹介物件数の多さは強みにならない」と語る名村氏。今後、“家余り”が予測される住宅業界は、物件を購入・賃借する人口の減少にともない首都圏では顧客の争奪戦が繰り広げられることだろう。コンタクトする機会を得たユーザーとの商談を、円滑にクロージングへと導くかはユーザーのニーズを汲み取り「どれだけ早く、自分の時間を拘束されずに、欲しい情報を提供するか」(名村氏)が鍵を握ると語り、アトリクはその一助になると講演を締め括った。
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