英Rolls-Royceは現地時間10月15日、船舶の自動航行に向けてIntelと新たに提携したと発表した。海運業界向けシステム「Intelligent Awareness System」を強化するものだ。人工知能(AI)を搭載する同システムは輸送船の「目と耳」としての役割を果たし、それらを自律航行に一歩近づけるものだと、Rolls-Royceのエンジニアリングと技術および船舶インテリジェンス担当ディレクターを務めるKevin Daffey氏は述べた。
Intelligent Awareness Systemは、LiDAR、レーダー、サーマルカメラ、HDカメラ、衛星データ、天気予報からの入力データを処理する。そのデータを総合することによって、船舶は周囲の環境を認識し続け、数km離れたところにある物体を検出することができる。
Daffey氏によると、入力データは1日あたり合計で最大1テラバイトにもなる可能性があり、Intelの3D NAND SSDを利用して船上に保存されるという。このシステムは、約1カ月分のデータを船上に保存した後、クラウドにアップロードする。一方で、船上に搭載されているIntelの「Xeon Scalable」プロセッサを使用して、ローカルで機械学習や推論ワークロードを実行する。
Rolls-Royceはこのシステムを日本近海で試験済みだという。
船舶のような環境へのAIの導入は、さまざまな理由に基づき技術的に非常に難しいと、IntelのAI製品グループ担当バイスプレジデント兼最高執行責任者(COO)を務めるRemi El-Ouazzane氏は先週、報道陣に語った。例えば、多数のセンサからのマルチモーダルなセンサ入力により、船舶上で極めて難しい規模で干渉が生じる。また、厳しい天候条件により、LiDARのセンサが遠くの物体を検出しにくくなる可能性がある。水中の映像を検出するためには、デジタル画像を高い精度で処理しなければならない。
同氏はその際、Rolls-Royceが自動システムにこの3年間にわたり投資してきたことについて「目的は、海運にさらなる安全性をもたらすことだ」と述べ、海上事故の約70〜80%が人的ミスに起因することを指摘した。
決して完全に無人で航行できるようにはならない船舶もあるが、タグボートや一部の客船など、人間が遠隔制御で支援するだけで航行できる可能性がある船舶も存在する。これらの船舶は陸上の作業員によって制御され、作業員らは「毎晩、家に帰り、家族に会い、シフト勤務することになる」とDaffey氏は述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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