サムスンの折りたたみ可能なスマートフォンは、長く憶測されているが依然として登場していない。しかし同社のモバイル部門責任者が、宣伝のための道具として片付けられてしまいそうな製品の説得力のある事例を挙げた。
サムスンのモバイル部門の最高経営責任者(CEO)を務めるD.J. Koh氏は、その端末について、マルチタスク機能を備えるタブレットとして使用可能で、折りたたむとよりポータブルなスマートフォンになると述べた。
Koh氏は、「Galaxy A9」の発表イベントに際して行われたインタビューで、「当社が折りたたみ可能なスマートフォンを提供するとき、それは顧客にとって本当に意味のある製品でなければならない」と述べた。
Koh氏はこの折りたたみ式スマートフォンが、6カ月から9カ月でなくなってしまう「単に耳目を集めるだけの製品」ではないことをインタビュー後に改めて強調した。この製品は、韓国向けに発売された曲面ディスプレイ採用の「GALAXY ROUND」とは異なり、世界的に販売されるという。
しかしながら、サムスンの折りたたみ式スマートフォンはGALAXY ROUNDのように、レビュアーと市場がどのような反応を示すかを見るためのたたき台になることが予想される。本体が垂直軸を中心に湾曲しているGALAXY ROUNDは、曲面ディスプレイを採用した同社初のスマートフォンだった。ディスプレイの両側が曲面となっている、今日の「Galaxy S9」や「Galaxy Note9」の元祖である。
サムスンは、Consumer Electronics Show(CES)2013で折り曲げ可能な有機ELディスプレイ(OLED)を発表して以来、折りたたみ式スマートフォンを至高の目標に掲げている。Koh氏は9月、サムスンの次期デバイスを2018年内に発表し、早ければ11月に同社のDeveloper Conferenceで発表する可能性があることを正式に認めた。折りたためる機能が実現すれば、イノベーションが減って停滞しているスマートフォン市場にとって大きな進歩となるかもしれない。
折りたたみ式スマートフォンを開発している企業はサムスンだけではない。華為(ファーウェイ)は、11月に折りたたみ式スマートフォンを一番乗りで発売するために急速に開発を進めていると報じられている。同社はAppleを破って世界第2位のスマートフォンメーカーとなっており、サムスンから首位を奪うことを目指しているとみられる。初となる折りたたみ式スマートフォンの発売は、サムスンとファーウェイのどちらにとっても、先駆者としての評判を確立し、話題を集めることになるだろう。そのことが、自社の従来型で安価なスマートフォンの販売を後押しする可能性もある。
大画面は重要だ、とKoh氏は述べる。同氏によると、サムスンが初代「Galaxy Note」を発売したとき、競合他社はこのデバイスを一考に値しないと見なしたという。現在に至るまで、Galaxy Noteシリーズのモデルがいくつも発売され、「iPhone XS Max」や「Pixel 3 XL」といった大型デバイスも目にするようになり、消費者が大画面を求めていることが証明された。折りたたみ式スマートフォンは、画面のサイズを6.5インチよりさらに広げることができる。
「ひょっとしたら当社が折りたたみ式スマートフォンを販売し始めてもニッチ市場になるかもしれないが、市場は必ず拡大する。私は人々が折りたたみ式スマートフォンを必要としていると確信している」とKoh氏は述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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