そこで置き配である。地域の店舗や施設に冷蔵庫やラックを設置。再配達や受け取り待ちの必要がなく、注文したユーザーが受け取れる場所を選択し、好きな時間に受け取れる。
現在は、「なんでも酒やカクヤス」や「カラオケの鉄人」と提携し、店頭に冷蔵庫やラックを設置。ほかにも「スマイルドラッグ」や「ツルハドラッグ」などとも提携しており、受け取り先の拡充を図っていくとしている。
こうして食品の買物をEC化の力で自由化し、地域受け取りを行なうことで街ちの再活性化されるのが狙いだ。食材を店舗で受け取れるとなれば、「ついで買い」や「来店促進」につながる。また、店舗側も受け取り客へ向け「一緒にお酒はどう?」などといったアピールも可能。相乗効果も期待できる。
このサービスは、利用するユーザー側のメリットだけでなく、地域の農家や業者、小規模店舗にとってもメリットがあるという。これまで、生鮮ECはコストが高く小規模店舗では敷居が高かった。そこで売りたい商品や食材をピックアップし、当日中に受け取り場所へ配送することで、販売が可能になるのである。たとえば、「朝どれ野菜」や「焼き立てパン」が、専門店へ行かなくてもユーザーの手に渡るわけで、より多くの販売数が期待できる。
配送コストも考えられていて、近距離配送に特化することで配送コストを圧縮。販売金額の一部を手数料として販売店から徴収することで、ユーザー側は手数料や配送料がかからず、商品1個からでも送料無料で注文が可能だ。販売店側は、管理費や年会費、初期費用も不要で、参加しやすいのも特徴だ。
置き配の要となるのが、宅配ではない配送モデルだ。物流センターを設けず、美味しい食材を美味しいうちに届けるため、当日集荷、当日配送で冷凍せず生のまま配送。このため、仕入先をルート集荷し、そのまま配送先へルート配送する仕組みになっている。
受け取り場所となる店舗側では、配送員が受け入れ、受け取りユーザーに多少案内する程度。受け取りは基本的にユーザー自身が行うため、店舗側は冷蔵庫やラックの設置場所さえあれば、協力金をもらえるので、それほど負担にはならないという。
今後は、駅や地域の集会所、オフィス、マンション共用部、さらに保育園なども視野に提携先を考えているという。そうした受け取り場所が広がることで、住民にとってはいつでも新鮮で美味しい食材が手に入りやすく満足度が上がり、街にとっては受け取り場所へたくさんの人が来訪することで、コミュニケーションが増加し、街自体が活性化するとしている。地域のあらゆる場所で受け取れるようにして、「便利だね」という気持ちを抱かせたいとした。
さらに、物流において「ラスト1マイル」はサービス向上の要であり課題でもある。しかしクックパッドマートとしては置き配にこだわっているため、いまのところそこへの参入はないが、もしかしたらバイク便メッセンジャーが請け負うなど宅配代行プレイヤーが出現することは十分にありえるとしている。たとえば、カクヤスは1.2キロ圏内なら宅配するサービスを行っている。それと一緒に配達してもらうというのはアリだとした。ただ、「マンションの共用部や戸建住宅の共用施設、逆の発想でオフィス。これらにはラストワンマイルを埋める可能性がある」と佐藤氏は語った。
クックパッドのレシピと連携することで、食材にはレシピが付属し、食材セットを購入すれば、その日の献立もカンタンに考えられ、作ることができる。置き配によって時間に縛られる必要もなく、新鮮な食材が手に入ることは、このサービスが浸透することによって、ユーザーの引越し先の選択肢も置き配対応箇所の多い地域にしたいと考える人が増えるはずである。
今後はスマートロックをつけて、購入者のみがロック解除できる仕組みを導入する予定とのこと。より使いやすいサービスを目指すべく、受け取り場所を提供したい不動産業界や地域の価値を高めるのに興味のある行政からの打診に期待していると語った。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」