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VR空間内の物体に“さわれる”「EXOS Wrist」に後継機--月5万円のプランも

山川晶之 (編集部)2018年10月02日 12時50分
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 以前、バーチャル空間内の物体に“触れられる”ウェアラブル触覚デバイスとして、exiiiの「EXOS Wrist DK1」と「EXOS Gripper DK1」を紹介したが、Wristに後継モデル「EXOS Wrist DK2」が登場した。また、一般の法人にも販売を開始し、サブスクリプション型のプランも導入する。

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「EXOS Wrist DK2」

 EXOSは、カーデザインや大型機械の設計など、作成したCAD(製品設計などに使用するソフト)データ内のオブジェクトに触れるために開発されたデバイス。カーデザインの現場では、CADで設計したオブジェクトをレビューするために、1台1000万円ほどかかるクレイモデルを制作して立体化する必要がある。しかし、設計変更した場合には、クレイモデルを作り直すため、コストも開発期間も増大してしまっていた。

 EXOSを使うことで、設計したモデリングデータに直に触れることができるため、運転席からのインパネルの位置の確認など、CADデータのレビューがスピーディにできる。DK1登場時は、日産自動車のグローバルデザイン本部で活用が検討されていた。

 また、これまでは自社の3Dプリンタで一つずつ製造していたため、販売先を限定する必要があったが、DK2では、より量産に向いた3Dプリンタ工場に製造を委託することで、販売先を限定せず、申込みしたすべてのユーザーに提供できるようになった。少数での量産の場合、金型を使った量産よりもコストは低く、今後販売数がより多く見込めそうであれば、より本格的な量産も検討するとしている。

 DK2では、本体を大幅に小型軽量化したほか、バッテリ駆動時間も1.5時間から2.5時間に向上。さらに、DK1でユーザーから装着時のクッションが汗を吸い込むとの声を受け、エラストマーのバンドと水を吸わないスポンジに変更。あわせて装着面も改善させており、バンドを調整するだけで固定できるようになった。

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バッテリは交換式のため、予備を持っておけばバッテリが切れてもすぐに使うことができる

 なお、掴む感覚を再現するGripperの方は、DK1を継続販売するものの後継モデルは出ていない。exiii代表取締役CEOの山浦博志氏は「“掴む”というユースケースが広がらなかった」としており、掴むことに対して価値を見いだせるアプリが少なかったこと、手のひらを自由にすることでVRコントローラーと共存できるWristと異なり、掴む動作は手を占有してしまうため、コントローラーと競合してしまうのも課題だったという。

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VRコントローラーを持つことができる。グローブ型のセンシングデバイスを併用することで、指のモーションも再現できる

 BtoBをメインにしており、価格は売り切りタイプだと片手で60万円(税別)と高価だが、新たにサブスクリプションプランを用意。故障時の修理・交換保証込みで月額5万円(税別)で利用できるようになった。これまでは、裾野を広げるよりも製造業を確実に攻めていくことに注力していたが、新プランにより価格面から導入を見送っていた企業でも導入しやすくなるとしている。

 基本的にはCADでの使用を前提としているものの、バーチャルキャラクターに触れるなど、これまであまり積極的ではなかったエンタメ用途でも活用の幅が広がるとしている。実際にDK2を体験してみたが、銃の反動のようなフィードバックも可能なほか、粗さはあるものの柔らかい素材とでこぼこの素材の違いを判別できた。盛り上がるVRChatやVTuberとの相性も良いかもしれない。

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柔らかい物体や表面がゴツゴツした物体の感覚が粗いものの掴むことができる

 しかし、そのためには低価格化は避けて通れない。これについて山浦氏は、「exiiiで作るのも考えられるし、外部に技術を提供することもあるだろう」とする。しかし、VR環境はまだ発展途上であり、普及した次のフェーズとして「触覚が必要」というニーズが出てくるまでタイミングを見極めたいという。

 また、同様のデバイスが出現した場合、価格勝負に持ち込まれるとハードウェアスタートアップには厳しい。そのため、チューニングを含めたソフトウェアで差別化したいという。BtoBの方が要求がシビアであり、ハードウェアを先に出すことで顧客からフィードバックを集められるため、ソフトウェア開発でリードできるという。当面はBtoCよりもBtoBに注力していく方針だ。

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社内にはさまざまな工具が並ぶ。山浦氏は「一番効率の良い置き方がこれだった」と語る

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