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ツールとリアル、2つのコミュニケーション方法で企業文化醸成を目指す--IDOM北島氏

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 朝日インタラクティブは9月13日、都内で経営層からマーケティング部門などユーザー企業担当者を対象にしたイベント「CNET Japan Conference 2018 ビジネスコミュニケーションツールセミナー」を開催した。重要度が増す"社内外のコミュニケーション"を加速させるためのビジネスコミュニケーションツールという切り口で、多くの事例が語られた。本稿では基調講演として登壇したIDOM 執行役員 経営戦略・人事・カスタマーサクセス・広報担当 北島昇氏の「新たなコミュニケーションツールの活用と、リアルな場でのコミュニケーションの重要性」を紹介する。

コミュニケーションユーザーに合わせた多様な手法を導入

 30歳を迎えた2007年にIDOM(旧ガリバーインターナショナル)へ入社した北島氏は、人事やマーケティング、商業施設向け新型店舗開発、経営企画を歴任。IDOMの新規事業に対する取り組みはほかの企業と同じく、多くの課題を抱えていた。

 経営層に「組織構造を変えてくれ」と直談判したところ、ブーメランのごとく自身が新規事業開発室室長に就任。コネクティッドカー事業やアクセラレータープログラムの運営、サブスクリプション事業「NOREL」を立ち上げ、現在はCaaS(Car as a Service)の構築を目指した経営戦略責任者として各種事業に取り組む一方で、人事、広報部門の責任者として社内外の多様な人材を活用した「人事制度改革」を実施している。

IDOM 執行役員 経営戦略・人事・カスタマーサクセス・広報担当 北島昇氏
IDOM 執行役員 経営戦略・人事・カスタマーサクセス・広報担当 北島昇氏

 IDOMは旧社名からもわかるとおり、中古車売買を主軸とした企業だが、本社組織や営業、コールセンターで構成された社員数は約4000名を超える。本社はプロジェクトベースで組織と人が動き、出張買い取りや商談を行う店舗数は全国約500の直営店舗に数千人が点在するため、複雑なコミュニケーション環境の準備が必要だった。

 顧客体験改善プロジェクトを推進する同社は、「企業の価値を顧客とコミュニケーションしながら変える」(北島氏)ため、利用シーンを「本社⇔本社」「本社⇔店舗」「店舗⇔店舗」「店舗⇔顧客」を4分野に分割したが、各所に課題が発生したという。本社間のコミュニケーションは、プロジェクトベースで関係者が他部署への異動や地方に駐在するケースがあるため「弊社は小売り、流通だからこそ、タイムリーな議論が求められる」(北島氏)とコミュニケーション不全が顕在化した。

 本社、店舗間は施策の情報共有が主体となるものの、その施策を実施する背景まで伝達できず、「質と量が大きな課題」(北島氏)となる。店舗間のコミュニケーションだが、「各店舗は5~10人のコンパクトな運営のため孤独になりがち。また、マネージャーの情報伝達のタイムラグも課題」(北島氏)だった。そして店舗、顧客間は「IMなど使い慣れた非同期型コミュニケーションツールを望まれる」(北島氏)。

ロールやレイヤーで情報を出し分けスムーズなコミュニケーションを

 このような背景からIDOMは、本社内のコミュニケーションツールとしてFacebookを基盤としたエンタープライズ版SNSの「Workplace」を導入。Facebookユーザーならご承知のとおり、常に新しい話題(フィード)が上部に来る仕組みだが、「フィードをスタックさせる機能や、社内ルールでグループの作成はカテゴリごとに絞り込む。また、打ち合わせなどは決定事項を共有し、欠席者もリアルタイムで内容を共有できる工夫を凝らし、運用で吸収する」(北島氏)。

 本社、店舗間は全社員通達などコミュニケーションスタイルが多様のため、メールや社内イントラネット、テレビ電話、エンタープライズ版LINEの「LINE WORKS」を併用する。もちろん各コミュニケーションツールを個別に使用せず、「動線体験分岐を踏まえている。例えば社内メールは『出したけれど読まれない』ケースが多い。そこでLINE WORKSに誘導する仕組みを設計した」(北島氏)。

 社内イントラネットは情報過多で使用されなくなるケースは枚挙に暇がない。「本部と店舗などロールやレイヤーによって(情報の)出し分けている。マーケティングによるコミュニケーションの最適化ロジックを使用し、マーケティングから人事に社員を加えて改善した」(北島氏)。

 店舗間および店舗、顧客間は「個人アカウントを使用せず、収集データをCRM(顧客関係管理)に活用するため」(北島氏)LINE WORKSを採用した。店舗での営業時や外出時にPCを開くのは難しく、顧客対応が主となる場合はスマートフォンによる操作が容易なLINE WORKSが活用しやすいという。

 さらに北島氏は社内エンジニアとのコミュニケーションにSlack、外部関係者とはChatWorkを併用している。一見するとツールの乱立化は煩雑かつ、情報の分散リスクが発生するが、「いくつあっても苦にならないタイプ」(北島氏)だという。だが、IDOMとしては人事的観点から見た組織の可視化や社員のコンディション把握を目指し、「UIの相違は利便性の観点から障壁となる」(北島氏)ため、独自ソリューションの開発にも取り組んでいる。

 変わった取り組みとしては、期間とテーマを決めて特定の社員だけではなく幅広く現場の意見を集めるセッションを設けた。3日間で450人1200件の意見が集まり、「所属部署という制度をなくした方がいい、オフィススペースの快適化提案といった意見をすくい上げることができた」(北島氏)という。経営層から見れば、プロジェクトチームに誰を任命するか、現状の社内風土に対する問題意識など多様な景色が見えてくる。本取り組みについてIDOMは、「コミュニケーションツールも大事だが、コミュニケーションデザインは丁寧に行うべき、というのが感想。初期段階は特にコミュニケーションを回すマネージャーの準備や、役員クラスの参加も必要」(北島氏)だろう。

コミュニケーションツールとリアルなイベントで双方での取り組みが大事

 このようにテクノロジを活用したコミュニケーションを深めるIDOMだが、他方で「リアルなコミュニケーションの場」にも注力している。ただ、その内容は従来と異なり、「全国店長会開催時は、それまでの上意下達ではなく、組織や事業について議論できた。問題意識を共有している」(北島氏)という。ほかにも本社若手メンバーを対象に部署間を超えた交流の場を設けることで、社内全体のコミュニケーションを活性化するイベントや、エンジニアを対象に未来を見据えたディスカッションも行っている。

 IDOMはコミュニケーションツールの重要性を踏まえつつも、「店舗、部署を超えた仕事に対する思い、課題を共有し、相互理解を深めながら気軽にできる関係作り」(北島氏)を目指してきた。あくまでもコミュニケーションツールは業務上のコミュニケーションコストを避け、意思決定判断の迅速化に用いる。同時にリアルなイベントで相互理解を深めるべきだと強調した。

 現在IDOMは「経営の高度化」「人事制度改革」「組織の再定義」「Culture Co-Creation(文化の共同創造)」を標榜している。「我々が重視しているのは、1人の人間として友達、家族への接し方と社員同士の差分。人は人事や営業といったタグに思考や言動が縛られる。だからこそ『自身の良心に従ったアクションを取り戻す』感覚で変わる、いや『脱ぐ』ことはコミュニケーションツール単体で実現できない。良質な関係性こそが文化醸成の土壌。我々は(企業の)文化作りをゴールに定める」(北島氏)と、ビジネスコミュニケーションツールだけでは実現できない未来を語った。

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