GNヒアリングジャパンは9月26日、専門家による遠隔調整サポートに対応した補聴器「リサウンド・リンクス クアトロ」を10月9日より発売すると発表した。希望小売価格は22万円~で、初年度販売目標は2万台。
GNヒアリングはデンマークを本社とする企業で、2014年に初めてiPhoneと直接つながるスマート補聴器を発売した。
「リサウンド・スマート 3Dアプリ」を使い、音量調節や騒音で会話の聞き取りが難しい環境などにワンタッチで音質を変更できるほか、補聴器を紛失した際に「補聴器を探す」機能などを備える。
遠隔サポートの利用登録をすると、アプリから遠隔で聞こえの調整を専門家に依頼できるようになる。たとえば、普段は調子がいいが皿を洗っている時だけうるさく感じる、といったときにアプリから依頼すると、専門家が聞こえ具合を調整し、その設定を送信する。ユーザーは、受け取った設定を補聴器に保存でき、快適に聞こえるようにできるという流れだ。
遠隔のオンラインサービスには、Microsoftのクラウドシステム Microsoft Azureを使用しているという。
GNヒアリングジャパン マーケティング部長の池田慶弘氏によれば、日本における補聴器の満足度は39%(2015年調べ)で、欧米に比べると半分程度と低い。販売されている補聴器が異なるのかといえば、そうではない。
世界の補聴器市場は、メーカー6社で9割を占めており、どこの国でもほぼ同じものが販売されているという。「なぜ同じ補聴器で満足度が日本だけ半分なのか。改善するためにはなにが必要かを分析した結果、(1)確かな調整、(2)両耳装用、(3)早期装用──の3つがキーポイント」と説明した。
「聴力の検査をもとに、フィッティングをして、PCで聴力データを入力する。人によって、低い音を持ち上げる、高い音が苦手だから高い音を持ち上げるといった調整が入る。通常、調整士のもとでするが、調整には何度も病院に通わないといけない。時間的な制約があり、天候でおっくうになることもある。それを遠隔でやっていくことは、満足度が上がる一つの要素」(池田氏)
また、日本人は見た目を気にして片耳しか装着しない人も多く、また軽度の難聴では補聴器はあまり使われないという。「いよいよ会話ができないに近い状態になり、中度か高度以上の難聴になってから使う人が多い。聴力は体力と一緒で、復活するまでに時間がかかかる。そうすると、昔のようにうまく聞き取れない」と理由を説明した。
今回の「リサウンド・リンクス クアトロ」は、14種類のカラーをラインアップし、ファッションや好みに合わせて選びやすくした。GoogleのAndroid端末とも直接接続でき、これは世界で初という。
「非常に軽く、小さくて目立たない。50代、60代から使って欲しい。騒音下でどれだけ聞き取れるかが重要になるが、新チップの搭載により音質を改善。聞こえる周波数範囲や音のダイナミックレンジを改善した」(池田氏)
還暦を迎え、リサウンド補聴器のアンバサダーを務める辰巳琢郎氏が実際に身に着けて登壇。「補聴器は本当に進化しており、つけていてもわからない。積極的に使う時代になったと思う。年寄りに見られたくないから、以前はメガネも使いたくないという思いがあった。けれど、メガネもファッション性があり、おしゃれになって使いやすくなってきた。補聴器の分野もそんなふうに進化していくのではないか」とコメント。
また、「聴力の低下は認知症にもつながると聞く。自身も対策として早めに使い始めようかと思っている。CMをやっているからというだけでなく、真剣に考えているところ。補聴器を一般的なもの、普通のものとして考えてもらえたらうれしい」と語った。
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