火山の火口にドローンで設置できる観測機器「竜の卵」--英ブリストル大学

 英国ブリストル大学の研究チームは、火山の火口へドローンで設置して火山活動を観測できる機器「dragon eggs」(「竜の卵」)を開発した。高温などの厳しい環境にさらされても継続的に機能し、温度や振動などに関する計測データを無線送信するという。

火口へドローンで設置する観測機器(出典:ブリストル大学)
火口へドローンで設置する観測機器(出典:ブリストル大学)

 この観測機器は、温度、湿度、振動、各種有毒ガスを計測可能なセンサを備え、人間の近づけない火口付近のような危険な場所にドローンで設置して使える。計測データは無線通信で最大10km離れたベースステーションへ送信され、そこから衛星回線経由でさらに転送される。これにより、火山活動の各種データを火口付近からリアルタイムに取得可能となる。

 観測機器は高温などに耐えられるだけでなく、ドローンで運べる程度の大きさと重さに納める必要があった。さらに、電池交換などのメンテナンス作業は実施不可能なので、少ない消費電力で作動する省電力性も求められた。

 そのため、少ない電力でデータ計測可能なセンサを採用したうえで、火山性微動による振動を検知するまでは休止状態のまま電力を温存するシステムとした。振動をとらえると「竜の卵が孵化(ふか)」し、観測を始めてデータを送信する。観測開始に必要な振動パルスのエネルギーは、約5ピコジュールと極めて小さい。この数値は、ショウジョウバエと衝突した際のエネルギー量に比べ、10万分の1ほどしかないそうだ。

 dragon eggsシステムは、イタリアのストロンボリ火山で実地試験をした。研究チームは、火山観測のほか、氷河や断層の研究、放射性廃棄物を貯蔵する施設の監視などにも活用可能と見込む。

dragon eggsの紹介ビデオ(出典:South West Nuclear Hub/YouTube)


CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]