マーケティングツール「KARTE」で知られるプレイドが主催する、CX(顧客体験)がテーマのカンファレンス「CX-DIVE」が9月4日に東京・虎ノ門ヒルズで開催された。
同イベントのキーノートセッションでは、森ビルの杉山氏とチームラボ代表の猪子氏が登壇。6月21日にお台場にオープンし、連日予約チケットが売り切れになるほど人気となっている「MORI Building DIGITAL ART MUSEUM:EPSON teamLab Borderless」(以下、チームラボ・ボーダレス)において目指した体験や、その意図するところを解説した。
チームラボ・ボーダレスは、不動産開発の森ビルと、デジタルアートで世界に活躍の場を広げるチームラボが共同で運営する常設のデジタルアートミュージアム。延床面積1万平方メートルという巨大な空間に、470台ものエプソン製プロジェクタを導入し、チームラボの制作した幻想的なデジタルアートを壁や床の全面に映し出す、これまでにない新しいスタイルの美術館として話題を呼んでいる。
内部は「ボーダレスワールド」「運動の森」「未来の遊園地」など、大まかに5つのテーマに分かれたエリアからなり、全60作品が展示されている。杉山氏によれば、入口に「さまよい、探索し、発見する」というメッセージを表示しているとおり、「普通の美術館とは違って、1本道じゃない迷路のような空間とし、作品を発見していく楽しさを体験できるようにした」とのことで、子ども向けの教育的な内容も多く含まれているという。
森ビルの杉山氏の立場において、このチームラボ・ボーダレスで重視したポイントは、「身体を使って得られる体験」と「ここに来ることでしかできない体験」。床から壁まで、一面をディスプレイにしてデジタルアートを表現しているだけでなく、ネットやトランポリンでできた床で空中に浮いているような感覚を体験できたり、バブルや光の中に入っていくような映像を表示したり、あるいはオブジェを移動させて他の来場者とともに空間を作ったり、といった演出により「自分が作品の一部になるようなものを目指した」という。
しかも、「順路なし、地図なしの不便なものになっていて、目的の作品に出会えないこともある。入口でいきなり三叉路が現れ、どこに向かっていくかわからないので、全体像が見えず迷ってしまう」という、美術館としては前代未聞の構成になっているとも話す。そんな常識を打ち破る内容にしたことに対しては、「それさえも楽しんでください、という思いがあった」と同氏。
「安全サイドにもっていこうと思うと本当につまらないものになってしまう。アーティスト(チームラボ)がやりたいと思っている“純度”の高いものをなるべく生かして、結果的には振り切れた物ができた」と顔をほころばせる。
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