パーソナルモビリティを手がけるWHILLは9月18日、SBIインベストメント、大和証券グループ、ウィズ・パートナーズ、Endeavors Catalystなどの新規投資家および、三井住友海上キャピタルなど既存投資家から、約50億円を調達したと発表した。なお、これまでの累計調達額は約80億円に達するという。
WHILLは、4輪の電動モビリティを中心に展開しており、2014年に初代モデルとなる「WHILL Model A」を発表し、日欧米で販売。さらに、コストパフォーマンスを高め、国内で初めて3Gモジュールを搭載した2号機「WHILL Model C」(2017年4月発売)は、CES 2018において、Best of Innovation Awardを受賞している。同社では、「格好良くなければ作らない」「大切な人を乗せられる」「説明書いらず」を設計指針にしているという。
WHILLでは、今回の調達で海外展開とMaaS分野を強化する。これまで、米国、カナダに進出しており、2018年6月にはイギリスとイタリアも加わっている。同社では、これまでBtoC向けに展開していたが、MaaS事業強化にあたりBtoBにも参入。これまでの売り切りタイプではなく、シェアサービスとして、スポーツ施設や遊園地、空港などに設置することで、高齢者など長距離を歩くことが困難な場合でも簡単に目的地に向かうことができるとしている。
さらに、自動運転や追従走行機能などの実装もパナソニックと共同研究しており、ロボティクスモビリティ「WHILL NEXT」として、2017年8月に羽田空港での実証実験を開始している。スマートフォンで目的地を入力するだけで、周囲の障害物を避けながら自動走行し、衝突の恐れがある場合は自動停止するという。使用後は、自動でステーションまで走行する。このため、介助スタッフなしに搭乗ゲートなどに移動できるため、空港スタッフの負担軽減につながる。
こうした機能は、ハードウェアからソフトウェアまで一気通貫で開発することで実現できるという。将来は、“歩道版Uber”のように、アプリで予約して行きたい場所に自動で移動する未来を描いているようだ。電動車いすであれば、歩道は車道と比べて法規制が少なく、実装も早く進められるという。WHILL代表取締役兼CEOの杉江理氏は、「歩道からパーソナルモビリティが始まる」と語る。
なお、WHILLでは、同社のプロダクトをパーソナルモビリティと定義している。もちろん、電動車いすとしての利用も想定しているものの、より広く、クルマや公共交通機関の補助移動としてラストワンマイルの移動デバイスとして普及させたいとしている。ショッピングセンタなど買い物で疲れてしまい、“WHILLで最寄りの交通機関まで自動走行してもらう”といった使い方が一般化するかもしれない。
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