メモリーカードがXQDカードのシングルスロットとなったZ7・Z6。高速転送が売りのXQDだが、入手性やコストパフォーマンスなどSDカードに遠く及ばず、ユーザーの利便性も劣るのが現状だ。この不便ともいえるXQDを採用した理由は何か。池上氏は「今のニコンのカメラについていける性能を持つメモリーカードはXQDしかない。最高のパフォーマンスをユーザーに届けるために、XQDを採用した」と説明。「高付加価値商品に注力するという方針の中で、最高のパフォーマンスをこのカメラで出したい」と理由を語った。また、将来的にはCFexpressカードにも対応する予定だといい、プロフェッショナル用途への志向が伺える。
ミラーレスカメラであれば、ファインダーを省略した設計も可能だ。Z7・Z6で一眼レフカメラを彷彿とさせる形状を採用した理由については、「プロやハイアマチュアに安心して使っていただける信頼性・堅牢性・防塵防滴性を重視し、このスタイルに落ち着いた」と回答。設計についても、ユーザーに受け入れられるサイズを目指し、始めにサイズ感やグリップ感を決定したという。今後、エントリー向け機やプロ向け機でボディサイズの変化があるかという問いには、「今後のボディサイズについては未定。動画機能などを含め、ユーザーのニーズがどのように変化していくかを慎重に見極めていきたい」とした。
Z7・Z6では、ニコンのカメラでは初めて、ボディ内に手振れ補正(VR)機構を搭載している。この機構の信頼性については、「ロック機構を搭載し、電源オフ時に固定することで信頼性・堅牢性を担保する」と述べた池上氏。なお、光学ファインダーを覗くFマウント機では、レンズ内補正でないと像面が安定しない。そのため、今後もZマウント機はボディ内、Fマウント機はレンズ内と、機構を使い分けていくという。
Zシリーズの発表前には、流出した画像を発端とし、マウントのイメージサークルのサイズが中判センサにも対応できるものなのでは、という噂も出ていた。Zマウントではフルサイズを超える大型センサに対応するかという問いに対し、池上氏は「Zマウントはフルサイズに最適となるように設計した」と回答。「フルサイズのミラーレスカメラでは、サイズ感などを考慮すると、このマウント、このフランジバックが最適ではないか」と述べている。
ニコンは記者発表会の質疑応答において、「Zマウントのレンズ情報はサードパーティに公開しない」と発表している。この点について池上氏は、「今までのFマウント機も公開はしていない」と語った。ただし、「サードパーティメーカーがリバースエンジニアリングをして開発しているので、今後はおそらくFマウントと同じ状況になるのでは」との予想を示した。
Fマウント機から大幅な変化を遂げたZ7・Z6。開発時におけるさまざまな点での苦労がうかがえるが、搭載を断念した機能などはなかったのか。池上氏は、「積み残しというものはない。よく仕上がっていると思う」と答え、「安心して使っていただける」と自信を見せた。
Z7・Z6について、「新マウントでしかできない光学性能や解像力を、ボディと共に実現している。また、カメラメーカーとして、しっかりとしたボディの剛性、信頼性を担保した設計としている。ぜひ幅広いユーザーに安心して使っていただきたい」とアピールした池上氏。ニコンが仕掛ける新たな一手に、自信を示した語りとなっていた。
ニコンイメージングでは、9月1日から11月10日にかけて、全国で「ニコンファンミーティング2018」を開催する。Z7をはじめとする、ニコンのカメラやレンズの体験が可能だ。
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