富士通は8月22日、高性能プロセッサと関連技術に関する世界的なシンポジウムである「Hot Chips 30」に参加し、ポスト「京」に搭載するCPU「A64FX」の詳細を公表した。
ポスト京は、世界のスーパーコンピュータをランク付けするTOP500リストで2011年に世界一となった「京」の後継機として、同社と理研が開発しているスーパーコンピュータ。2021年頃の共用開始を目指している。
A64FXは、Arm Limited(アーム社)のArmv8-A命令セットアーキテクチャをスーパーコンピュータ向けに拡張する「SVE(Scalable Vector Extension)」を、世界で初めて採用したCPUとなっており、幅広いアプリケーションに対応する汎用性、Tofuインターコネクトによる超並列、超低消費電力、メインフレームクラスの高い信頼性などを実現。
同社によると、アームとの協業により、SVEの策定にリードパートナーとして貢献。その成果をA64FXに採用したという。
なお、A64FXのマイクロアーキテクチャ(ハードウェア設計技術)は、同社がこれまでスーパーコンピュータやメインフレーム、UNIXサーバで培った技術を発展させて開発。高性能積層メモリの高いメモリバンド幅性能を引き出すハードウェア技術により、CPUの高機能の演算処理部を効率よく利用でき、高いアプリケーション実行性能が得られた。また、CPUとCPUの間を、「京」に向けて開発された独自のTofuインターコネクトで直結し、並列性能を向上している。
倍精度(64ビット)浮動小数点演算のピーク性能は、2.7TFLOPS以上。単精度(32ビット)ではこの2倍、半精度(16ビット)では4倍の演算スループットが得られるという。
これにより、アプリケーションが単精度や半精度の演算を活用することで、より高速に結果が得られるようになる。また、16ビット整数、8ビット整数の演算性能も強化しており、従来のスーパーコンピュータが得意とするコンピュータシミュレーションだけでなく、ビッグデータやAIなど、幅広い分野に適応するCPUだという。
同社では、Armアーキテクチャは幅広くソフトウェア開発者・ユーザに受け入れられていることから、Armのコミュニティに参加することで、オープンソースソフトウェアなどを含めたソフトウェア資産を利用しながら、Armアーキテクチャによるエコシステム発展にも貢献。
さらには、同CPUを搭載したポスト「京」の開発を通じて、コンピュータシミュレーションを用いた先端的な研究、健康長寿、防災・減災、エネルギー、ものづくり分野などの社会的・科学的課題の解決や産業競争力の強化。ビッグデータやAI分野への適用拡大により「Society 5.0」の実現に貢献するという。
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