サムスンは同社の大々的なイベント「Galaxy UNPACKED 2018」で2つのデバイス、スマートフォンの「Galaxy Note9」と新しいスマートウォッチ「Galaxy Watch」を発表した。ここまでは予想どおりだったが、予想外だったのが、スマートスピーカ「Galaxy Home」の発表だ。そう、大釜にもフォンデュ鍋にも、はたまたバーベキューグリルにも見える例のスピーカである。
Galaxy Homeは、サムスンの音声アシスタント「Bixby」を搭載する同社初のスマートスピーカだ。Bixbyは、スマートフォンの「Galaxy S8」と同時にデビューして以来、同社のテレビやスマート家電にも採用されてきた。競合するのは、Amazonの「Alexa」やGoogleの「Googleアシスタント」、Appleの「Siri」などで、どれも堅調に先行している。Galaxy Homeは、そんな競合メーカー3社がしのぎを削る市場に参入しようとしているのだ。実際にはこの3社だけではなく、Microsoftや小米(シャオミ)、阿里巴巴(アリババ)といったメーカーの存在も無視できない。
サムスンのイベントでは、Galaxy Homeの詳細について多くは語られなかったため、価格や実際の提供時期などの肝心な点は、11月に開かれる開発者会議までお預けとなった。それまでの間、3本脚の大きくて黒い熟れた洋梨のように、Galaxy Homeがさまざまな推測を呼ぶ機も熟すだろう。ここでは、Galaxy Homeについて筆者からいくつかの提案をしたい。
高音質の「Sonos One」が登場してから、200ドル(約2万2000円)が高音質スマートスピーカの価格の目安となったが、Galaxy Homeがそれより高くなっても、例えばAppleの「HomePod」の349ドル(約3万9000円)という価格に迫ったとしても驚きはしない。だが、筆者の考えでは、それは間違った方向だ。
Appleをまねても、成功する保証はない。Siriは、スマートフォン搭載の音声アシスタントとしては利用者が最も多いが、それはひとえに「iPhone」でのインストールベースが多いからで、家庭内で見れば上位とはほど遠い。最近のレポートによると、米国の市場でHomePodのシェアは6%にすぎず、Amazonの70%、Googleの24%に大きく水をあけられている。AmazonとGoogleはスマートスピーカの分野で何年も先行しており、デバイスも約35~50ドルという価格で販売しているのだから当然だろう。サムスンがそれらと競うためには、価格面で戦えなければならない。
Alexaを搭載するサムスンの「VL350」が約250ドル(約2万8000円)なので、それより大きく、「プレミアム」なGalaxy Homeは、最低でも300ドル(約3万3000円)になると筆者は推測している。だが、それでは高すぎる。人気レストランには人が集まるだろうが、ひとりで食事をするときに値が張る場所に行きたがる人はいない。そう考えると、次のテーマにたどり着く。
Bixbyの未来図として考えられるのが、MicrosoftとAmazonが「Cortana」とAlexaの相互連携を実現したのと同じ展開だ。Bixby搭載スピーカに最もよく似た製品を探すとすれば、それは「Harman Kardon Invoke」だろう(皮肉なことに、製造元はサムスン傘下のHarmanだ)。Microsoftの音声アシスタントCortanaを採用している。Harman Kardon Invokeは、6カ月前に約200ドルで米国で発売されたが、現在は100ドル近くまで値が下がりつつある。Alexaを追加すれば(そして値下げもすれば)、売り上げを伸ばせるかもしれない。
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