フィットビットは、日本国内でスマートウォッチ「Fitbit Versa」(Versa)の販売を開始した。Versaは健康とフィットネスのためのスマートウォッチだ。
24時間365日心拍数計測が可能で、歩数、移動距離、消費カロリーなどアクティビティの自動記録に加え、睡眠も自動的に記録できる。さらに電話の着信を含むスマートフォンからの通知や独自アプリのインストール機能も備える。
Fitbitといえばこれまでリストバンドタイプが主流だったが、スマートウォッチ型にも力を入れ始めている。
Fitbit 副社長兼アジア太平洋地域事業部長のスティーブ・モーリー氏に、Versaの開発背景や日本の販売戦略について話を聞いた。
──2017年11月にFitbit初のスマートウォッチ「Fitbit Ionic」をリリースしました。今回のVersaも時計型ですが、時計型デバイスに力を入れる理由はなんでしょうか?
最も急速に成長している分野だからです。スマートウォッチは、グローバルに見ても、ウェアラブルのカテゴリの中でも最も急速に成長しています。
私たちがこうして新製品を発表できるのは、何年にも渡る仕事が積み重なってのことです。これまで何度もM&Aをし、スマートウォッチをつくる上で必要なものを仕入れてきました。一つはペイメントの会社(Coin)を買収したことで、手元で支払いができるようになりました。それから(スマートウォッチの)Pebble(ペブル)というベースラインとなるソフトウェアの会社も買収しました。
これまで、フォームファクタ、形状も非常に大きな課題だと考えてきました。よりよいデバイスを、ヘルス&フィットネスのためにつくっていこうと考えていたわけです。
形状だけでなく、輝度や精細な画面も重要です。さらに、4日以上もつバッテリライフも、ヘルス&フィットネスとして重要だと考えてやってきました。何年間にもわたる仕事、M&A、ハードワーク、これらすべてを積み重ねてきたことで、一つの新製品だけでなく、スマートウォッチのポートフォリオができたところだと考えています。
──Pebble買収の話が出ましたが、VersaはPebbleのスマートウォッチと似ているように感じます。
デザインとしては一切Pebbleを参照していません。いま、スマートウォッチのデザイン面で消費者にどんな選択肢があるかといえば、Androidは丸で、iOSは四角です。それに対し、私たちはスクワークル(スクエアとサークルを合わせた造語)で、四角でもあり丸形でもあります。
一日中ずっと着けるにあたって、なにがふさわしいのかを考えてきました。確かにPebbleは買収しましたが、Pebbleを意識することなく、形の美しさを独自で追求した結果なのです。
──VersaはIonicよりも厚みがスリムになりました。また、最近は女性向けの健康管理機能なども入れ始めていますね。
Ionicは、パフォーマンスにフォーカスしたデザインでした。Fitbitだけでなく、スマートウォッチの購入者層は男性に相当偏っていたので、Versaはジェンダーニュートラルなデザインにし、より多くの女性を引き込もうと意図しました。販売から6週間を見ると、それが達成できており、より多くの女性を引きつけていることがわかります。
結果、男女にかかわらず、マスアピールのできるスマートウォッチを発売できたと思っています。カラーも、シルバー、グレー、メタルがあります。それらは男性的ですが、女性的なものとしては、ローズゴールド+ピーチベルトや、中間色としてシルバー、ブラック+ブラックベルトなどもあります。
オプションもマスアピールのできるものがそろっています。米国では、発売から6週間で、100万台以上もの台数を売り上げるなど、もっとも急速に伸びた新製品です。
──その人気の理由をどう分析していますか。
これまで販売してきたどの製品と比べても、最初の6週間で最も急速に立ち上がっているのがこのVersaです。
第一に、なんといっても手の届く値段であるということです。米国では、小売価格が199ドル(日本では税込価格:2万4452円~)です。形状は小ぶりで軽く、スクワークルなデザインであること。さらに、スマートウォッチのカテゴリの中でも、ヘルス&フィットネスに真に最適化した製品であることだと考えています。
──Ionicも併売しますが、Versaとのすみ分けについてどう考えているのでしょうか。
デバイスには、ソフトウェアとハードウェアの2つのレイヤがあると思います。ソフトウェアとしては、IonicはFitbit OS1.0で、VersaはFitbit OS2.0です。ハードウェアは、大きさ、デザインの違いを除くと、IonicはGPSが組み込まれていますが、Versaにはありません。
たとえば、ランニングを重視するならスマートフォンを持たずにペースや移動距離を測定する内蔵型GPSがとても重要な機能です。でも、Versaもスマートフォンとともに走れば、コネクテッドGPSの機能はありますし、ライトなユーザーにとってはGPSはそれほど重要というわけではないでしょう。
なお、バッテリのパフォーマンスについてですが、VersaはIonicよりも小型なので、バッテリも小さいものです。でも、実はIonicも発売当初は4日以上としていましたが、発売している間にチューニングをして5日になりました。Versaも最初は4日以上ということで発売しますが、今後チューニングすることで長くできると考えています。
──GPS機能を重視するならIonic、薄さや軽さを重視するならVersaということですね。
そうですね。今後の売上げのシェアは、Ionic(税込価格:2万9797円~)よりもマスアピールのできるVersaのほうが全般的に大きくなっていくと思います。値段もよりお手頃ですし、ジェンダーに対しても中立です。
一方、Ionicはパフォーマンスにフォーカスを当て、アクティブユーザーを対象にしています。フィットネスのパフォーマンス向上に熱心な人がIonicを買い、Versaはより一般的なヘルス&ウェルネスに関心を持つ人が使うでしょう。
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