前編では「Magic Leap One」の全体的な評価や装着感などをお伝えした。この後編では、筆者が体験したさまざまなデモを紹介した上で、前編の内容も踏まえた総評をお伝えする。
「Dr. Grordbort's Invaders」
- Magic Leapは数年前から、ニュージーランドのWeta Workshop(映画「ロード・オブ・ザ・リング」や「アバター」の制作で有名)と協力して「Dr. Grordbort's Invaders」を開発している。Greg Broadmore氏のコミックとデザインにインスパイアされた、スチームパンクの世界を舞台に光線銃を撃ちまくるゲームだ。その体験を予告する2015年の動画は、高い目標を掲げていたものの、筆者が体験したデモは、そこまで刺激的ではなかった(前編の冒頭で紹介したのが、このゲームだ)。
- このゲームは、Magic Leap Oneと同時にはリリースされないが、いつか発売するとMagic Leapは約束している。
- コントローラが光線銃に変わり、そこに輝く銃身がマッピングされるのだが、ときどきマッピングがずれることがある。
- ロボットはポータルを通って室内に侵入し、家具の後ろに隠れたり、ものの上に落ちてきたりする。筆者は、動き回ってロボットを見つけては破壊し、壁に空いた穴にいる巨大なロボットのボスをのぞき込んだりした。2015年にHoloLensで試したのと似た、敵を一掃するタイプのゲームだが、グラフィックスは大きく向上している。
NBAや家具のショッピングをARで体験
- 「HoloLens」と同じように、いくつかのスクリーンが筆者の目の前に浮かぶ。空中に浮かぶ、あるいは壁に配置された仮想のテレビを見ることもできる。これは「Magic Leap One」向けの「Helio」ウェブブラウザだ。
- NBAの体験ではハイライトのビデオクリップが表示された。その後、筆者は3Dによるハーフコートでのダンクシュートのリプレイ映像を見た。その映像は地面に投影され、テレビゲーム「NBA 2K」のハイライト映像が目の前の床の上で再生されているようだった。
- The New York Times(NYT)アプリを起動すると、灰で覆われた自動車が筆者のいる部屋に投影された。NYTがスマートフォンで既に提供している拡張現実(AR)機能の3Dバージョンのようだ。
- Wayfairの家具ショッピングアプリでは、3Dのリビングルームのジオラマで椅子やテーブルを見たり、それらの家具を自分のいる部屋に配置したりした。Wayfairも既にスマートフォンでこうしたアプリを提供しており、それは「Google Tango」までさかのぼる。
- 複数のアプリを同時に開き、空間のさまざまな場所に配置することができる。これは、筆者が今までに見たことのない、巧みな機能だ。それぞれのアプリをクリックして閉じることができるが、筆者はいつも閉じるのを忘れてしまうので、さまざまな仮想の物体がどんどん増えていった。
チャットに飛び入り参加
- Magic Leap Oneはある程度のARチャット機能を提供するが、筆者が試した機能はかなり初歩的であるように思えた。このソフトウェアは、発売時点では2人のアバターチャットをサポートするが、今後最大6人まで対応する予定だという。
- これは、筆者が仮想現実(VR)で体験したチャットを思い出させた。漫画のような、やや角張ったアバターが筆者のいる部屋に現れた。声の主は、別の部屋にいるMagic Leap従業員のMichaelだった。このチャットは、HoloLensが提供する機能にも似ている。だが、筆者はこれよりも、何十人ものユーザーが参加できるアバタープラットフォームである「Oculus Venues」や「AltspaceVR」、「Rec Room」などのアプリの方が大きな感銘を受けた。
- Magic Leapは、理論上ユーザーが共同作業できるワークスペースやプロジェクトのデモは披露せず、チャットを何に使用するのかも説明しなかった。だが、アバターは筆者の周りを動き回り、まるで自分の後ろで動いているように、その声が聞こえた。それから、われわれはアバターでグータッチをした。
Sigur RosのARサウンドスケープ(音風景)
- 自然を表現したサウンドスケープで知られるアイスランドの実験的なバンドSigur Rosは、Magic Leap Oneで「Tonandi」という実験的なAR音楽作品のプロジェクトを既に開発している。デモセッションの中で筆者が最も気に入った体験の1つだ。
- それは、映画「アバター」の世界で作られたARの音楽体験のように感じられた。筆者は音楽の魂に触れているような感覚にとらわれた。その幻想的な効果を体験するたびに、Magic Leap Oneで作られる体験は全て、輝く半透明の別世界のように見えるのだろうかと感じる。これまでのところ、ほとんどの体験はそのように思えた。Tonandiの体験は、最上級の没入型アートとインスタレーション展示を思い出させた。
提供:Magic Leap
- 筆者は今回、コントローラを使用していない。自分の手を使って、あらゆるものに触れるよう薦められたからだ。葉のようなものに手を滑らすと、音を立てる。厳密に接触しているようには思えないが、手がどの方向から来ているのかを検知してくれる。粒子のエフェクトの見た目は特に素晴らしい。
- 筆者は海中の生物が大好きなので、目が離せなかった。