先述したように、答えはノーだ。それほどではなかった。そして筆者はその理由を考え続けた。
Magic Leap Oneのディスプレイ技術は、この1週間くらいの間にYouTubeで見たどんなデモ動画よりも、ヘッドセットで見た方が明らかに印象的だ。明視野技術はより明るく、より鮮やかに感じられ、3Dの配置もしっかりとしているように感じられる。
Magic Leap Oneは、現実世界が強化された体験を提供するが、これまでに提供された映像素材では、そこまで優れているように見えない。スマートフォンベースのARはヘッドセットのものと比べて完璧ではないものの、非常に見栄えがよくて誰にでもシェアできる映像を作り出すことができている。そう考えるとこの状況はなんとも皮肉である。
とはいえ、これは筆者にとって真新しい体験でもない。3年以上前から、さまざまなARヘッドセットを見てきた。最初はMicrosoftのHoloLensだった。「Meta 2」や明視野ディスプレイ技術を使用するAvegantのプロトタイプのARヘッドセットでも、同様のアイデアを目にしたことがある。今は各機種の微妙な違いを探しているような状態だ。
Magic Leap Oneはインスタレーション展示での使用に最も適しているように思える。その環境に仮想の層をシームレスに重ねて、効果を最大限に引き出せるような場面だ。事実、筆者が訪問したのと同じ日に、有名劇団のロイヤル・シェイクスピア・カンパニーがMagic Leapと会合していた。
さらに、Magic Leap Oneが作り出す体験は、最高クラスのVRハードウェアのものよりも没入感が低い。「HTC Vive」では、自分が本当に別の場所にいるかのような感覚にとらわれることがある。Magic Leap Oneの室内での没入感には、そうした感覚が途切れる瞬間が必ず訪れる。例えば、視野が突然途切れる。そばにある椅子を完璧には認識しなくなったり、トラッキングがわずかに中断されて、筆者の動きと完全には一致しなくなったりする。あるいは、一緒に室内にいるほかの人々が突然、筆者のホログラムの中を歩いて通り抜けたりする。
これらは、AR全体が抱えている課題だ。ARを完成させるということは、誰もが認めているよりもはるかに難しいことなのだと筆者が考えるのは、そのためである。結局のところ、筆者が最近試したほかのAR体験も、どれも完璧ではなかった。Magic Leap Oneが、筆者がこれまでに体験したなかで最も良かった没入型シアターの体験と同じ水準に達するまでには、まだまだ長い時間がかかるだろう。
Magic Leap Oneは堅実な進歩のように感じられるが、まだ完成の域には達していない。Magic Leapの本当の狙いは、このハードウェアを開発者に提供し、実際に機能するハードウェアを出荷できるということを世界に示したうえで、より完成度の高い次期バージョンの開発に着手することなのかもしれない。その次期バージョンとは、視野の限界や眼鏡への対応、使いやすさ、価格、操作性の向上など、さまざまな課題を解決した製品のことだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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