壁にある出入口が開いた。その向こうには、まばゆく輝く街が見える。ロボットが飛んできてミサイルを撃ってくる。手に握ったコントローラが、今はレーザー光線銃だ。コントローラのトリガーを引き、ロボットに向けてエネルギービームを放つと、ロボットはオットマンに崩れ落ちる。1発のミサイルが幻想的に光りながら、すれすれのところをかすめ、振り返ると向かい側の壁に向かって飛んでいくのが見える。そこには、米CNETの撮影班と、Magic Leap従業員の一団が立っていて、最高経営責任者(CEO)のRony Abovitz氏も、筆者が身をかがめながら移動するのを見ていた。ミサイルがその頭上を飛んでいったが、彼らは気づきもしない。ミサイルは、「Magic Leap One」を装着した筆者にしか見えていないからだ。
筆者は今、初めてMagic Leap Oneを試している。正式発売を数週間後に控え、フロリダ州プランテーションにあるMagic Leap本社で、実際に装着してその実力のほどを確かめているところだ。
最初の感想として、Magic Leapが宣伝するほど感動的というわけではなかった。だが、これまでに筆者が体験したなかでは最高の拡張現実(AR)ヘッドセットだと考えている。「HoloLens」と根本からまったく違うというわけではないが、Magic Leap Oneの方がディスプレイ、操作性、グラフィックス、そして没入感の点で勝っていると感じる。没入感というのは、目の前で見たり触れたりするものが、よりリアルに感じられるということだ。それでもなお、Magic LeapのこのARハードウェアには重大な難点がある。特に問題なのが、視野の狭さだ。
ARシステムとしては大きな進歩だが、画期的というほどではない。少なくとも今のところは。全ては、次の一手にかかっている。
筆者の見る目は厳しい。筆者はAR分野でMagic Leapと競合するあらゆる製品を、この数年で試用してきた。これにはHoloLens、「Meta 2」、さらにAvegantの複合現実(MR)ヘッドセットなどのプロトタイプも含まれる。またあらゆる仮想現実(VR)ヘッドセットも試用してきた。
初めて体験した「Oculus Rift」と「HTC Vive」は衝撃的だった。Magic Leap Oneが、筆者からするとお決まりの足掛かり的な製品のひとつにすぎず、画期的というほどではないと感じられたのも、結局はそのためだろう。しかも、ターゲットにしているのは、進化し続けるAR機能を模索する開発者であって、それ以外のユーザーではないようにも見える。
そして、筆者にははっきりと感じられた点が1つある。まだ、一般消費者向けではないということだ。
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