自動車業界は100年以上にわたって組み立て工程で人間に頼ってきたが、テクノロジを利用してそうしたの労働者のコンディションを最善の状態に維持しようとする取り組みが、比較的新しい現象として起こっている。その目標を達成するため、Fordは工場作業に伴う厄介な副次的影響を軽減する、新たな2つの奥の手を用意した。
Fordは2017年11月、「EksoVest」という外骨格スーツを発表し、試験を開始した。その狙いは、繰り返しの多い作業中の疲労を軽減することだ。今回、そのシステムが、世界中の15のFord工場に導入された。
EksoVestは身体に装着する軽量の外骨格スーツで、5ポンド~15ポンド(約2.3kg~約6.8kg)の重量を持ち上げて支える機能をFordの工場労働者に提供する。EksoVestは、身長が5フィート2インチ~6フィート4インチ(約157cm~約193cm)までの人に対応する。
試験中、作業者はシフト終了時の疲労度が軽くなったと報告した。これは重要な成果だ。なぜなら、EksoVestは工場の潜在的なダウンタイムを減らすだけでなく、頭上作業に従事する作業者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL:人生/生活の質)も改善するからだ。その頭上作業の負担は、小麦粉が入った袋を1日に4600回以上頭上に持ち上げることに相当する場合もあるという。
労働者の疲労を軽減しようとする試みは、物理的な補助だけにとどまらない。従業員が不必要な怪我を招くおそれのある体勢で作業するのを防ぐため、Fordはボディトラッキング技術も利用している。
Fordがスペインのバレンシアにあるエンジン組み立て工場に導入したスーツは、スポーツチームがアスリートのフォームを正すために使用するのと同種のボディトラッキング技術を搭載している。Fordでは、作業者の姿勢を調べて、身体への負荷が少ない作業場を開発するためにこの技術を活用する。EksoVestと同様、この技術にも、従業員の満足度の向上や潜在的なダウンタイムの低減といった利点がある。
このスーツには15個の光センサが内蔵されており、それらのセンサは検出ユニットに接続されている。4つのカメラが各センサ(とセンサが接続された身体)の動きを追跡する。人間工学の専門家がそのデータを用いて、作業者の姿勢を改善することに加え、Fordが新たな作業場を設計できるよう支援する。これは現時点ではパイロットプログラムにすぎないが、Fordは欧州のほかの工場にもこの技術を導入することを検討中だという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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