日本の住宅や住設における高い機能性や技術力が、米国の住宅を変えようとしている。導入するのは、米国シリコンバレーで起業した「HOMMA」。住宅関連のスタートアップとして、日本の住宅関連企業とコラボレーションしながら、米国におけるスマートホームの建設プロジェクトを推進している。
HOMMAは、Founder&CEOの本間毅氏が2016年に米国シリコンバレーで創業。中古住宅が89%を占めると言われる米国の戸建て住宅販売において、新築かつスマートでデザイン性の高い建売住宅の提供を目指す。
「米国では、中古住宅が多くを占めるため、今の暮らしにあっていない環境で暮らす人が多くいる。その部分を変えることで、住宅から人の生活を未来にしていく」と本間氏は、HOMMAの目指す未来を示す。
現在の米国における住宅では、1階にリビング、キッチン、ダイニングがあり、さらに古い物件だとゲスト用のダイニングルームなどを設けているとのこと。HOMMAが提供する住宅では、見晴らしの良い2階にリビング、ダイニング、キッチンを設け、1階にベッドルームを配置。玄関近くには、民泊として貸し出すこともできる、独立したベッドルームを設ける。
住宅には、スマートロック、スマートスピーカやセキュリティカメラ、コネクテッドドアセンサなどのIoT機器を完備。いずれも、ビルトインで組み込むことで、入居後はすぐに使える状態を目指す。
オーナー向けアプリも開発しており、アプリ上で自宅の設計図からビルトインされている家電の取扱説明書などを確認。チャットボット機能も備え、修理依頼などもアプリ上からできることを想定しているという。
テクノロジを使ったスマートホームを提唱する一方で、住設機器も変化させる。日本では当たり前のシステムキッチンだが、米国では職人が建設している場で作り、設置していくことが大半とのこと。そのため工数がかかり、人件費もかさむ。
日本では一般的な引き戸を取り入れ、スペースの確保にも取り組む。ベッドルームごとに設置していたバスルームとシャワールームを1つの部屋にすることで省スペース化し、空いたスペースにキッズスペースを設けるなど、今の暮らしに合わせた住宅を提案する。
新たな米国住宅の建設必要不可欠となるのが日本の住宅建築技術と住設機器だ。HOMMAでは、パナソニック エコソリューションズ社、ヤマハ、積水ハウス、リクシル、サンワカンパニーといった日本企業とすでに提携しており、各社の住設機器などを、米国の住宅に取り入れていく予定だ。
「米国の暮らし方も変わってきており、最近では室内で靴を脱ぐスタイルの家もある。しかし靴箱がないため、靴の置き場所がない。こうした暮らしの変化を日本の住宅や住設機器を取り入れることで解決していきたい」と本間氏は今後を見据える。
ターゲットは注文住宅ではなく、コミュニティ単位での開発で、これにより短期間での事業成長を見込む。将来的にはコミュニティ単位でのメリットをいかし、サブスクリプションサービスなどの提供も視野に入れる。
HOMMAでは、1月から実験住宅・ラボの「HOMMA ZERO」を完成させ、現在多くの見学者が訪れているとのこと。今後は、3~10戸のプロトタイプ住宅「HOMMA ONE」を完成させ、プロトタイプのコミュニティを建設する「HOMMA X(ten)」、プレミアムコンパクト住宅によるコミュニティを建設する「HOMMA 100」を、2022年をメドに構築する計画だ。
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