われわれは、深海にすむ生物のことを驚くほど知らない。深海は、地球上に残された最後の未踏の領域の1つだ。
問題は、生物にアプローチする方法にある。深海探査が可能な遠隔操作の無人探査機の登場によって、この謎に満ちた領域に分け入る道が開かれたものの、海の生き物は捕まえにくく、現場で調査するのが難しい。多くの深海生物は、体の大きな捕食者から身を守る硬い殻を必要しないため、体が軟らかいのだ。
したがって、彼らを捕まえると、たいてい殺してしまうことになる。
だが、この問題の解決に役立つ可能性のあるロボットハンドが登場した。開発に携わったのは、ハーバード大学のウィス研究所とジョン・A・ポールソン工学応用科学部(SEAS)、およびラドクリフ高等研究所の研究者たちだ。
折り紙にヒントを得たこのロボットハンド「RAD Sampler」は、折りたたむことのできる多面体だ。小さな生物が近づいてくると、遠隔操作でそっと多面体を閉じ、中にできた空間にその生物を閉じ込めることができる。
ユニークなのは、このロボットハンドが1台の回転モータのみで動いていることだ。モータをゆっくり回転させれば、多面体のパーツが閉じるようになっている。
研究チームは最近、このロボットハンドのテストをカリフォルニア州モントレーで実施した。遠隔操作の水中探査機にロボットハンドを取り付け、水深500~700mの海中で操作するというものだ。その結果、イカやクラゲといった体の軟らかい生物を捕獲し、傷つけることなく解放することに成功したという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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