楽天、第1四半期決算は増収減益--フリマアプリや直販などECへの投資を加速

 楽天は5月10日、2018年12月期第1四半期決算を発表した。売上収益は2418億7100万円(前年同期比14.0%増)、営業利益は280億9800万円(同30.5%減)、Non-GAAP営業利益は318億円4300万円(同27.4%減)、投資事業の損益を除いたNon-GAAP営業利益は270億円(同2.5%減)、税引前利益が259億2200万円(同32.2%減)となった。


楽天常務執行役員CFO&CROの廣瀬研二氏

 事業別では、国内ECが売上収益973億円(前年同期比8.8%増)、営業利益が164億円(同8.3%減)。コミュニケーションズ&スポーツの売上収益が232億円(同29.1%増)、営業利益が26億円の赤字(同増減なし)。その他インターネットサービスの売上収益が530億円(同27.1%増)、営業利益が8億円(同92.7%減)。インターネットサービスセグメント全体では、売上収益が1735億円(同16.3%増)、営業利益が146億円(同44.9%減)となった。


決算サマリ

 営業利益の減少について同社常務執行役員CFO&CROの廣瀬研二氏は、「今期は上澄みで90億円の利益成長を果たしたが、将来の成長のための先行投資として49億円を計上した」と述べ、投資事業による損益の幅が大きく、それを除いた営業利益270億円が実態に近いと説明した。なお、インターネットサービスセグメントの「その他インターネットサービス」の営業利益については、投資事業の損益である110億円のマイナスが含まれているという。


前年同期比の営業利益では、投資事業と先行投資費用を除いた分では15.2%の増加になったと説明

 EC分野の先行投資として、フリマアプリ「ラクマ」のCtoC領域、直販ビジネスのRakuten Directなどを挙げている。楽天でEC事業を統括している常務執行役員ECカンパニープレジデントの河野奈保氏は、「CtoC事業が順調に伸びている。(ラクマで)ユーザーへの手数料を無料化しており、マーケットが拡大した結果」と手数料無料による投資効果が出ていると説明。Rakuten Directでは、「日用品は、新規ユーザーの獲得や定期的な商品の購入など、ECにとってフロントサービスとして重要」とし、在庫の確保や流通面も含めて強化していくとした。

 FinTech事業は、売上収益が900億円(前年同期比15.5%増)、営業利益206億円(同29.0%増)と好調。楽天カード、楽天銀行、楽天証券それぞれで増収増益を達成している。同社では、保険分野の強化として、すでに参入している生命保険のほかに、朝日火災海上保険の買収を完了している。同社は、5月1日付けで楽天損害保険に商号を変更した。

 携帯電話事業では、1.7GHz帯の電波割り当ての認定を総務省より受け、2019年10月のMNO事業開始を目指す。2018年~2028年までの10年間で5263億円の設備投資を実施する。また、ネットワーク構築に向け、電力会社が保有する通信鉄塔、配電柱、建物屋上、送電鉄塔などの設備を活用することで、インフラ構築コストを削減。東京電力ホールディングス、東京電力パワーグリッド、中部電力、関西電力、九州電力がパートナーとなっており、最終的には2万7000基地局の整備を進めるという。契約者数は、2028年度末までに1000万人を目指す。


楽天副社長執行役員 通信&メディアカンパニープレジデントの山田善久氏

 楽天副社長執行役員 通信&メディアカンパニープレジデントの山田善久氏は、MNO参入の意図について「MVNOは、ドコモから回線を仕入れてユーザーに再販している形のため薄利。自社ネットワークではないし、利益率もそこまで高くないため、思い切ったマーケティング施策ができなかったり料金プランに制約がでてくる」とし、「自分でネットワーク持てば、新しい技術でネットワークコストを下げることで、プランの作り方も全く違ったものができる。自由にサービスを構築してユーザーに喜んでいただける」と述べた。また、生活インフラになっている通信を押さえることで、楽天エコシステムにおいても重要なピースになるとした。

 また、参入発表後に賛否があった設備投資費について山田氏は、「6000億円という数字は、さまざまなベンダーの見積もりと、基地局のネットワークの配置にもとづいて算出したもので自信がある」と説明。大手携帯キャリアの年間投資額との差については、これまで構築してきたネットワークに対する維持管理にも投資していると山田氏は推察しており、「新しい技術を使って投資すれば、今の数字で十分賄えると確信している」とした。また、楽天の財務体力についても、「1500~2000億円を楽天から新会社に資本注入し、4000~4500億円はリース。電話の売上げの証券化などでもしっかり賄える」と自信を見せた。

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