農業向け技術を手がける米国企業Blue River Technologyは、畑の雑草にだけ除草剤を散布するシステム「See & Spray」を開発した。除草剤の散布量を10分の1程度に減らせるうえ、除草剤に耐性のある雑草の増加抑止にもつながるとしている。
See & Sprayは、トラクターに装着して移動しながら作物の植えられた畑を撮影し、ディープラーニング(深層学習)で作物と雑草を区別する。そして、1インチ(約2.5cm)未満の精度で雑草だけを狙って除草剤を噴射できる。
処理時の移動速度は時速6マイルから8マイル(およそ時速9.7kmから12.9km)で、1人で操作可能。綿花(コットン)畑で使う場合、1回の移動で8列から12列へ散布できる。対応可能な綿花のサイズは、最大12インチ(約30cm)。
畑全体でなく雑草だけに除草剤を散布するため、除草剤の使用量を約90%減らせるという。これは、コスト削減だけでなく、除草剤の大量使用による耐性雑草の増加抑制にもつながる。
現在Blue River Technologyは、米国内でSee & Sprayの提供を始めたところ。綿花農場の雑草対策と、レタス畑の間引きに利用しているそうだ。
なお、現在1年間に世界で使われる除草剤の量は30億ポンド(約136万トン)におよび、250億ドル(約2兆8060億円)のコストがかかっているという。しかも、除草剤に耐性のある雑草は世界に250種類存在し、除草剤による畑のコントロールが難しくなっている。
See & Sprayの紹介ビデオ(出典:Blue River Technology/YouTube)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」