当局によると、賛否の分かれる顔認識システムのおかげで、米国時間6月28日にメリーランド州アナポリスの新聞社Capital Gazetteで起こった銃撃事件後に逮捕された容疑者の名前がすぐに判明したという。
アナランデル郡のTim Altomare警察署長は、米国時間6月29日に記者会見で、「このシステムがなければ、身元を特定して捜査を進められるまでにもっと時間がかかっていただろう」と語った。この銃撃事件では5人が射殺された。
容疑者は逮捕時に、身元を証明するものを何も持っていなかった。コンピュータシステムに「(タイム)ラグ」があったため、指紋を利用する当初の試みはうまくいかなかったとAltomare氏は述べている。
そこで、警察は、容疑者の画像をメリーランド州画像リポジトリシステム(MIRS)で調べ、多くの運転免許証の写真や警察のファイルにある顔写真と比較した。
銃撃犯の特定に顔認識が一役買ったものの、この技術の利用を疑問視して批判する向きもある。特に問題なのは、不正確な場合があり、誤認によって少数民族出身者が著しく不当な扱いを受けるおそれがある点だという。公民権を脅かす可能性もある。米自由人権協会(ACLU)は2016年、顔認識システムを利用して抗議活動の参加者を監視したとしてメリーランド州警察を批判した。中国で使用されているような大衆監視システムにつながりかねないという声もある。
ACLUの法律顧問を務めるNeema Singh Guliani氏は、次のように述べている。「この銃撃犯を特定するのに警察が顔認識技術を必要としたというのは、はなはだ疑わしい。犯人は、これまでに脅迫行為を何度も繰り返し、勾留されていて、指紋もすでに採られていた。顔認識のような大衆監視が可能な技術の採用や利用の前に、もっと多くの答えを得て、情報に基づいて議論する権利が国民にはある」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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