筆者は今、「FaceTime」を起動したときのようにスマートフォンを手に持ち、腕を前に伸ばしたまま、部屋の中を走り回っている。ある会社の計画が実現すれば、遠からず、あちこちで同じ光景を目にするようになるだろう。
筆者がプレイしているのは、2016年にモバイルゲーム「Pokemon GO」を大ヒットさせたスタートアップ企業、Nianticが作ったゲームだ。ご存じのとおり、Pokemon GOは「App Store」史上最速で10億ドルの売り上げを記録し、今でも人気ゲームの上位でランクを保っている。
Pokemon GOの人気を支えているのは、そのシンプルさだ。手にしたスマートフォンを実世界に向けると、画面に、実際に自分の目の前にある歩道などが表示される。そこに突然、「ポケモン」が出現して跳ね回る。うまく「モンスターボール」をぶつければ、ポケモンを捕まえることができる。「Gotta catch 'em all(ポケモン、ゲットだぜ)」というキャッチフレーズのとおりだ。
このゲームが世界的に大反響を呼んだことで、Nianticは拡張現実(AR)という、生まれたばかりのジャンルをリードする企業となった。ARは、コンピュータの画像(この場合はポケモン)を現実世界に重ねる技術だが、まだ発展途上の域を出ていない。ポケモンにしても、ただ画面の中を跳ね回っているだけで、リアルな存在感があるとは言い難かった。
Nianticが、サンフランシスコの歴史的な建物フェリービルディングの2階にある広々としたオフィスに報道陣を招き、開発中の次世代ARテクノロジについて紹介したのも、そのためだ。ちなみに、Nianticという社名は、ゴールドラッシュ時代の捕鯨船の名前に由来しており、この船はサンフランシスコのダウンタウン地下から発見されている。
Nianticが披露した最新技術はどれも、身の回りにあるものをスマートフォンにもっと確実に認識させるものだ。例えば、地面、人、車などのあらゆるものを、手に持ったスマートフォンをかざして識別させる。一定以上のものをうまく識別できれば、ポケモンのキャラクター「ピカチュウ」が歩いている人の脚の後ろを通り抜けていったり、植物の裏側に隠れたり車をよけたり、そんなこともできるようになるという。
新しいタイプのゲームの開発にもつながる。その1つが、筆者もデモ版をプレイした「Neon」だ。FaceTimeを起動したときのようにスマートフォンを目の前にかざしながら、筆者を含めた4人が、ほぼ空の室内を動き回った。画面には、カメラが捉えた現実世界が写っているほか、地面には白い球体が写し出され、プレーヤーの頭上にはスコアが表示される。
プレーヤーは動き回りながらこの白い球体を集めつつ、画面で敵のプレーヤーをタップして、カラフルなエネルギーの球を当てる。
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