SNS世代の高校生が抱える“いじめ”の悩み--N高とNetflixがコラボ授業

 6月27日、学校法人角川ドワンゴ学園N高等学校と動画配信サービスを展開するNetflixが合同で、特別授業「Netflixオリジナルシリーズ『13の理由』で考えるSNS世代の高校生が抱える悩み 〜その時あなたならどうする?〜」を、N高通学コース・代々木キャンパスで開催した。

 特別授業は、事前に参加を希望したN高通学コースの生徒を対象に行われ、当日は実施会場の代々木キャンパスの生徒約80名と、ライブ中継による全国7キャンパスの生徒約170名の合計約250名が参加した。

Netflixオリジナルドラマ「13の理由」
Netflixオリジナルドラマ「13の理由」

 「13の理由」は、米国のとある高校を舞台にした、SNSやいじめをテーマにしたNetflixのオリジナルドラマだ。授業は、同作で「すれ違いが起きてしまったシーン」や「主人公が傷ついたシーン」を視聴しながら進行。ディスカッションには匿名投稿できるオンラインツールを活用し、総数約2500件の意見や質問が投稿された。ここでは当日の授業の模様をレポートするとともに、参加者たちの言葉もご紹介したい。

いじめ相談を支援する2人の“実体験”

 冒頭では、2人のゲストが自己紹介をした。お笑いタレントのスマイリーキクチさんと、教育系YouTuberの葉一さんだ。スマイリーキクチさんはお笑い芸人だが、現在は9割以上リテラシー関連の仕事をしているという。ネット上で「女子高生コンクリート詰め殺人事件の加害者」といういわれのない誹謗中傷を受けて以来、いまだに警察がパトロールして何もなかったという報告をポストに入れてもらう生活をしている状態だ。

 スマイリーキクチさんは、ブログで誹謗中傷を受けている人からの相談を受けることがある。そこでも、いじめ相談が増えているという。「ネットいじめは家に帰ってもいじめが続く。怖いのは加害者という自覚がない人が多く、軽く発した言葉で人を傷つけていること」とした。

お笑いタレントのスマイリーキクチさん(左)と、教育系YouTuberの葉一さん(右)
お笑いタレントのスマイリーキクチさん(左)と、教育系YouTuberの葉一さん(右)

 葉一さんは、小学3〜6年生、中学生、高校生向けの動画授業を公開している教育系YouTuberだ 。自身も中学生のときにいじめを受けた経験があり、現在はいじめの被害者を支援している。葉一さんは、「YouTuberの炎上は多く、削除してもまたアップされてしまう。送ってきたからリツイートではなく、自分でとめる勇気を持ってほしい」と強調。続けてスマイリーキクチさんも、「送られてきても見ないとか、本当に身を守るためにはグループから抜けることも大切。拡散してしまったら取り戻せない」とした。

誰かが傷つくことを書く意味

 動画の「深く考えずに誰かが傷つくことを書いて回してしまった」シーンをきっかけに、話題は“誰かを傷つける言葉”に及んだ。スマイリーキクチさんは、自分を誹謗中傷した事件で19人が捕まったが、みんな軽い気持ちだったことを指摘。「やった方は軽い気持ちだが、やられた方は大きな被害を被る。こういうドラマは現実味がある」と過去を振り返った。

 葉一さんは、「ある人間が誰かをうざいと言うと、周囲の人たちはそのように思ったことがなくても、次第にうざいと思い込みはじめる。いじめは空気みたいに広がっていくもの」と問題点を指摘。葉一さん自身は、外見の悪口から始まり、次第にいじめが広がっていったという。

 「自分がひどいことをTwitter上で言われたらどうするか」という質問に対して、参加生徒間でリアルタイム投票を行った。すると、「見なかったことにしてそのままにする」が78%となり、「Twitter上でやり返す」が22%だった。それに対してスマイリーキクチさんは、「やり返すのは挑発したと捉えられてしまって危険。スルーしてスクショが一番」とした。


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