エイベックス、医療業界に参入--エンタメ×バイオテクノロジで社会課題の解決へ - (page 2)

エンターテインメントとバイオテクノロジが組む意義

 一方で、なぜエイベックスが医療業界に進出するのか。エイベックス グループ執行役員の加藤信介氏は、「エンターテインメントの会社として、世の中に知ってもらうべきと考える事案に、アーティストを巻き込んで啓発活動に取り組んできた。この取り組みを通じて、若者のがんの検査率を引き上げる支援ができれば、未来のある若者がしたいことをできる一助になる」と説明した。

 事業の発端は、エイベックスの保屋松靖人氏の経験がもとになっている。保屋松氏自身の子どもが小児がんにかかり、国内で小児がんにかかる子供は年間2000~2500人(1万人に1人の割合)いること、先天異常や事故死を除いた、子どもの死亡原因の1位と知る。しかし、子どものがん検診はなく、現状は早期発見の手立てがほとんどないことが課題だ。そうした中で、「先生(広津氏)との出会いがあった」(保屋松氏)という。

 小児がんは早期発見できれば7割が完治できる病気でもあるという。「N-NOSEが実用化され、世の中に広まれば、小児がんを激減できる。エンターテインメントの力で世の中に知らしめ、未来を担う子どもたちの小児がんの撲滅を目指す」(保屋松氏)と語った。

がん検診の受診率が低い日本
がん検診の受診率が低い日本

 一方の広津氏も、「日本は検診受診率が圧倒的に低い。検査率を上げるには、まず画期的な技術が必要だということは研究者として思いつく。しかし、すばらしい技術があっても認知がないと使ってもらえない。両輪がそろってこそ使ってもらえる。進んでがん検査を受けるようになるのがすばらしいこと。キーワードは若年層への訴求。エイベックスと組むことは意義がある」とし、エンターテインメントとバイオテクノロジが組むことで、社会課題の解決につながると説明した。

 なお、エイベックスとHIROTSUバイオサイエンスは、小児がんの子供たちとその家族の金銭的支援や社会的支援を行うことを目的とした一般社団法人「EmpowerChildren」も設立している。

技術と啓蒙活動でがん検診の受診率の向上を目指す
技術と啓蒙活動でがん検診の受診率の向上を目指す

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