金融庁、bitFlyerなど仮想通貨交換6社に業務改善命令--テックビューロは2度目

 金融庁は6月22日、bitFlyerなど仮想通貨交換業6社に対して業務改善命令を発出したと発表した。業務改善命令を受けたのは、bitFlyer、QUOINE、ビットバンク、BTCボックス、ビットポイントジャパン、テックビューロの6社。すべて仮想通貨交換業の登録業者であり、テックビューロは2回目の改善命令となる。

 4月9日に金融庁の立ち入り検査を受けたbitFlyerでは、仮想通貨の盛り上がりで業容拡大するなかで、人員やシステム強化よりもコスト削減を優先し、内部監査を含めた内部管理態勢が整備されていなかったほか、監査等委員会および取締役会が、同社代表取締役社長の加納裕三氏の知人で占められており、牽制機能がうまく発揮されていなかったようだ。また、登録審査時に金融庁へ事実と異なる説明を伝えるなど、経営管理態勢にも問題があるとしている。

 そのほか、取引時の本人確認では、サンプル調査で住所が私書箱宛になっていた事例があったなど、マネーロンダリングおよびテロ資金供与対策(マネロン対策)にも不十分な点が見られたほか、利用者財産の分別管理、帳簿の管理、不正アクセスによる仮想通貨の不正流出の未然防止などでも問題があったとしている。

 また、QUOINEでも4月9日に立入検査を実施。同社では、仮想通貨取引システムをシンガポール法人経由でベトナム法人に外部委託していたものの、必要な業務報告書を受け取っておらず、監督業務に不備があったほか、法定帳簿が長期間にわたり未作成だったという。また、マネロン対策では、取引目的や職業を確認しないまま取引を開始した事例があったほか、反社会勢力対策に関し、スクリーニングの対象として、反社会勢力や口座を凍結している法人のデータが含まれていないことを確認。同社と利用者の資金の分別管理にも問題があったとしている。

 ビットバンクでは、4月18日に立入検査を実施。業容拡大のなかでコスト削減を優先し、人員を増強しなかった結果、多くの業務において社内規定を遵守できていなかったという。また、ユーザーが預けた資産が帳簿上の残高を頻繁に下回っていたほか、マネロン対策では、取引時確認の社名など必要事項が記録されておらず、業者を評価しないまま取引時確認を外部委託していたという。また、ホワイトラベル(取引システムの外部提供)事業において、提携先の業務態勢を評価していなかったほか、障害発生時の連絡プロセスなどが未整備だったという。

 BTCボックスでは、4月18日から検査を実施。こちらも、業容の急速な拡大のなか、システム強化が後回しになっていたほか、代表者に権限が集中し、経営計画などの重要事項が他の取締役に共有されず、月に一度の取締役会も開催されていなかったという。マネロン対策に関して、取引時確認で取引目的を確認しておらず、反社会勢力などのデータベースも構築していなかったという。また、中国にあるシステム担当部署を、東京からモニタリングしていなかったほか、法定帳簿も作られてないことなどが検査で判明し、経営管理体制の構築などを指摘された。

 ビットポイントジャパンも、4月18日から立入検査を実施。業容拡大での人員やシステムに対して投資しておらず、ユーザーが預託した資産も帳簿上の残高を継続的に下回る状況だったという。マネロン対策では、取引時確認において、法人の実質的支配者(改正犯罪収益移転防止法の施行により実施)を確認していなかったほか、実効性のあるシステムリスク管理態勢などが構築されていなかったという。

 テックビューロでは、2月13日に立入検査を実施。3月8日に、システムリスク管理態勢や利用者保護の面で重大な問題があったとして1回目の業務改善命令を受けている。その後、システム障害やユーザーからの苦情など、8日に改善命令を出した内容について、取締役会で議論や指示を出した形跡がないことが認められたこと、同社の資産とユーザーの資産が同じウォレットで管理されていたこと、マネロン対策として、適切に取引時確認がなされていないまま取引が開始されている事例があったことなどから、2回目の業務改善命令を発出したとしている。

 業務改善命令では、経営管理態勢の見直し、マネーロンダリングおよびテロ資金供与に関わる管理態勢の構築、利用者財産の分別管理態勢の構築、利用者保護措置に関わる管理態勢の構築、システムリスク管理態勢の構築、仮想通貨の新規取り扱いなどに関わるリスク管理態勢の構築などについて改善するように指示されている。また、bitFlyerやBTCボックスなどでは、反社会的勢力などの排除に関する管理態勢の構築、利用者情報の安全管理を図るための管理態勢の構築、利用者からの苦情・相談に適切に対応するための管理態勢の構築、テックビューロでは、法令遵守態勢の構築が追加されている。

 bitFlyerでは、改善内容の適切性や実効性に関して第三者機関の検証を受けることとされており、他の5社と比べて、より厳格な改善遂行が求められているようにみえる。なお、同社では、既存ユーザーへの本人確認状況の再点検が完了し、内部管理体制強化が整うまでの間、新規顧客によるアカウント作成を一時停止すると発表している。

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