シャープ「ブランドの会社になる」ことを宣言--株主総会で東芝PC買収にも言及 - (page 2)

シャープの資産に東芝のPCを加えることで広がりをもたせたい

会場入口
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 先頃、買収を発表した東芝のPC事業に関しても、質問が出た。

 シャープ取締役の石田佳久氏は、「一度撤退した事業に再参入するのは大変だが、東芝のPC事業は、規模は小さいが、グローバルに展開しており、堅実にビジネスを行ってきている」とし、「シャープには、ソフトウェア、サービス、ハードウェアなどの資産があり、これにPCを加えることでもっと広がりを持たせたい。東芝クライアントソリューションには、約400人のエンジニアがおり、シャープにはないオープンプラットフォームのエンジニアを足すことができる。ここでシナジー効果をあげたい。また、デバイスの面においても、シャープが持つセンシングデバイスやカメラモジュール、液晶を組み合わせることで、ユニークな商品展開できると考えている。リスクはゼロではないが、一緒になることで、さらに発展できると考えている」とコメントした。

 「東芝クライアントソリューションは、2017年度実績で1600億円強の売上高があり、経済的なプラス効果はある。また、東芝クライアントソリューションは、生産工場を持っており、BtoBにも強みを持つ。アフターサービスを提供したり、中古PCも買い取りしており、これも収益源になっているために継続したい。また、ビジネスデベロップメントができる機能を持っている点も評価している。一方で、鴻海はノートPCを大量に作り、インフラも持っている。コストダウン、物流、サービスを含めたシナジー効果が出てくるだろう」などと語った。

 また、株主総会での回答の声が聞き取りにくかったことや、株主総会後に展示された株主優待商品のなかに対象外の商品があり、それらを社員が区別できなかったこと、弁当をコンビニで買うように指示されたが、入荷量が少なく、すでに弁当が売り切れていたことなどを指摘。株主総会での事業説明において、製品単品から、サービスを組み合わせた取り組みを強化することを掲げたシャープが、サービスに対する姿勢が出来ていないことに苦言を呈する株主の声があり、戴社長は、「改善したい」と述べた。

 ここでは、「まだ、シャープは、サービスのことについて、心や頭のなかに入っていない。会社の要求で動くが、自分からは動かない。マインドセットをチェンジすることは、1年や2年ではできない。3年のプランが必要である」とし、「シャープは、開発力、技術力、生産力はあるが、商品力が弱かったという反省がある。これはサービスまでを統合していないのが理由である」とした。また、「自分が目標を持って、積極的に取り組んでいくことが大切である。毎月社長メッセージを社員に出し、さらに毎月、各事業本部とテレビ会議を行い、世界各国の商習慣を教え、グローバルのマインドへとチェンジしたいと考えている」などとした。

 戴社長は、経営説明会の開始から約1時間を経過しようとしたタイミングで、会場の後方に立っているだけで、動かないシャープ社員に対して、大きな身振りで、声を荒らげながら、「後ろにいる人たちはもういらない。撤退しろ」と叫ぶ一幕もあった。

 

 有機ELへの取り組みについては、「有機ELは、スマホ向けに、2016年に投資を決めて、一部量産がスタートしている。テレビ向けは、現在、スマホ向け技術を生かして、コスト競争力を持ったパネルを、高い技術力でつくれるかどうかに取り組んでいる。シャープは、8Kを重要な戦略に位置づけており、そこに向けて、液晶と有機ELとどちらがいいのか。今後、有機ELの開発をしながら、検討していく」とした。

 シャープは、2017年5月に、「2017~2019年 中期経営計画」を策定。構造改革から事業拡大へと軸足を移すとともに、経営の効率化を促進。「人に寄り添うIoT」と「8Kエコシステム」をキーワードに、「ビジネスモデルの変革」、「グローバルでの事業拡大」、「経営基盤の強化」などに取り組んでいる。

 2017年度は、最終黒字を達成したほか、東証一部復帰を果たし、さらに、2019年度には、海外売上高比率で8割を目指し、中国やASEAN、欧州、米州での海外事業拡大を積極化している。

 「8KとAIoTで世界を変える」ことを事業ビジョンに掲げており、「単なるモノづくり企業ではなく、ブランドを意識し、それにまつわるサービスなどの提供する企業とし、そこに軸足を置いて成長を遂げる」とし、2019年度には売上高3兆2500億円、営業利益1500億円を目標としている。

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