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パナソニック、強みにフォーカスして突き進むアプライアンス社収益性最優先の戦略

加納恵 (編集部)2018年06月20日 10時37分
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パナソニック専務執行役員で、アプライアンス社社長の本間哲朗氏
パナソニック専務執行役員で、アプライアンス社社長の本間哲朗氏

 パナソニックは6月19日、白物家電やオーディオ&ビジュアル機器、デジタルカメラなどを持つアプライアンス社の事業戦略説明会を開催した。中国市場における家電の大幅な増収増益や欧州家電事業の黒字化などを達成した2017年度を振り返るとともに、海外事業における製販連結化の実施や、オープンイノベーションによる事業化の加速などを掲げる2018年度以降の取り組みについて話した。

 アプライアンス社の2018年3月期の実績は、売上高が2兆7964億円(前年は2兆6972億円)、営業利益が1076億円(同997億円)で、増収増益を達成。パナソニック専務執行役員で、アプライアンス社社長の本間哲朗氏は「現在の営業利益率は4%前後になるが、早急にカンパニー全体で5%の水準に引き上げたい」と今後の目標を話した。

2017年度実績
2017年度実績
 

 ルームエアコンや大型空調などの「エアコン」、電子レンジ、食洗機、美容、健康家電、ナノイーデバイスなどの「スモール・ビルトイン」、冷蔵庫、洗濯機などの白物家電「メジャー」、テレビ、レコーダー、オーディオ、デジタルカメラなどの「AVC」、ショーケース、厨房機器などの「食品流通」、コンプレッサー、真空断熱材、燃料電池などの「デバイス・他」の6つの事業を持つアプライアンス社。その中で、エアコンとスモール・ビルトインを高成長事業として重点投資分野に位置づける。

事業ポートフォリオ
事業ポートフォリオ

 「エアコンは、新興国における需要により、収益力を強化している。2017年は英国の空調機器販売会社の『エー・エム・ピー エアーコンディショニング』(AMP)とブラジルの空調エンジニアリング会社の『ユニオンラックテクノロジー社』を買収した。これにより、今までカバーできていなかった地域に販路を広げられる。同様の取り組みは2018年度も実行していきたい」と戦略を話す。

 エアコンの販売台数が大きく回復した中国市場については「健康空調」を基軸に高中級機へのシフトを継続するほか、スモール・ビルトイン製品を、ショールームを使って訴求。キッチンビルトイン関連事業も本格的に立ち上げる計画だ。本間氏は「今の中国は、変化のスピードが早く、日本人がタイムリーに事業を動かすのは難しい。そのため現地中国の人を採用したところ、日本人には真似できないスピードとアイデア、着眼点で高成長をドライブできている」と、中国市場における事業展開を話した。

 米国、ブラジル、台湾、欧州などの地域でも製販一体となった展開を実施するほか、地域のニーズを捉えた製品開発を進めることで、商品提案力を強化していくという。

 この一例として、本間氏は中国市場におけるポルシェデザインの洗濯機を紹介。「2018年9月に中国市場で投入するドラム式洗濯機はポルシェデザインにデザインをお願いした。中国では若い世代の消費者が耐久消費財に興味を持っており、これはその層に向けたチャレンジ。このほかにも、日本では発売していない横幅90cmの大型冷蔵庫やネット接続機能を持った冷蔵庫なども販売している」と独自の商品戦略を明かした。

赤字から一転、前年比2.6倍になったデジカメ事業

 パナソニックでは現在、テレビや電話、ファクスの製造工場をルームエアコンや、ヒートポンプ給湯器の生産拠点へと転換している。「将来縮小が予想されるAVC事業の拠点にもう1つの柱を建てることで、生かし、移していこうとしている」(本間氏)と今後を見据える。

 収益改善事業に位置づけるAVCについては「5年前から、規模を追うより収益性の確保を優先する方針で、縮小すべき事業は縮小してきた。そのため、今後大きく縮小する必要はないと思っている。例えばデジタルカメラ事業は、2013年度に赤字となったが、その時はミラーレス、コンパクト、カムコーダーなどを取り扱っていた。2017年度はハイエンドミラーレスカメラを強化することで、売上を2016年比で2.6倍にまで伸ばせた。パナソニックが得意な高性能さをいかしたプレミアム機種に絞ることで全世界からご支持をいただけた」と成功例を披露。ただし「細かな手を打ち、それを積み重ねる必要はある。パナソニックは強みを活かすことにフォーカスしていく。そのプロセスで売上が伸びない、または事業を縮小することもあるかもしれない。それでも売上増より、収益性の確保を優先したい」と慎重な姿勢を見せた。

AVC事業概要
AVC事業概要

 パナソニックでは、2018年以降の成長への布石として、これまでのハード(モノ)に加えて「コト」創出を実現する施策を強化している。その1つとして取り組むのが、新たなビジネスアイデアの提案だ。3月には、北米のベンチャーキャピタルScrum Ventures(スクラムベンチャーズ)と新規事業の創出促進を目的とした新会社「株式会社BeeEdge(ビーエッジ)」を設立。2017年12月には、千葉工業大学と産学連携センターを設立し、AIとロボティクスを活用した家電開発に着手している。

 「(家電ベンチャーの会社がたくさん登場し、新しい家電が生まれてくることは)大変ありがたい動きで、私たちも負けずに提案していきたい。ただパナソニックだけでは動きが遅い。そこをBeeEdgeを立ち上げ、元DeNA会長の春田さん(BeeEdge代表取締役の春田真氏)と一緒にやることで、スピード感を出していきたい。『なんでそんなに遅いのか』などと言われることで、少しずつだが、動きを前倒しにできている。やってよかったなと感じている」(本間氏)とコメント。「すでに2つの案件を準備していて、もうすぐ1件目の案件ができる段階」であることも明らかにした。

 地域別の製販連結と、収益を確保する仕組み、さらに新規事業の立ち上げと、さらなる施策に取り組むパナソニック。今後も高成長、安定成長を中心に、現在売上高2兆9000億円、営業利益率3.7%から、売上高3兆円、営業利益率5%達成にチャレンジする。

2018年度経営目標
2018年度経営目標

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