6月18日、大阪府北部で震度6弱、京都南部で震度5強を観測する大阪北部地震が起きた。震災時にはSNSが安否確認などに活用できるが、一方、騒ぎに乗じてデマがはびこる傾向にある。今回の地震の際の高校生たちの様子をお伝えするとともに、Twitterで起きたデマ騒動、心理や対策についても解説していきたい。
「電車が止まって閉じ込められた」
「学校に行ったけれど休校になった」
「遅れて通常通り授業があって驚いた」
地震直後、高校生によるこのような投稿がTwitterにあふれた。阪神・淡路大震災は23年前の1995年に起きた。つまり、関西在住の10代の子どもたちには、今回のような大きな地震を初めて経験した子が多いのだ。それだけにショックを受けて駅や道端で泣いてしまったという話を多く聞いた。「電車内で緊急地震速報がきて慌てた」という子も多いようだ。
一方、「電車が止まって閉じ込められたけど、高校生が席を譲ってくれた」「高校生が道で誘導してくれた」などという話も耳にするなど、地震の中でも助け合いの精神で活躍していた高校生も多い。
「グループLINEから連絡が100件くらい来た」などという投稿は多く、LINEを家族や友人間の安否確認のために活用した高校生はとても多かったようだ。LINEの既読機能はもともと、東日本大震災を経験して安否確認のために生まれた機能であり、非常に適切な使い方といえる。そのほか、Twitterで友人たちに無事を問いかけたり、「大阪府で災害時無料Wi-Fi『00000JAPAN』が利用できる」といった、非常時に役立つ情報をシェアしている例も多く見かけた。
「休校になったからせめて楽しもう」とTikTokでリップシンク動画を撮影・投稿している高校生や、「電車が止まって初めて線路を歩いた」と線路の上を歩く動画をアップロードした高校生もおり、突然のことでもSNSなどをうまくコミュニケーションや気分を紛らわせるために活用している例は多く見られた。
一方Twitter上では、さまざまなデマが広まった。たとえば、「京セラドーム大阪の屋根にヒビが入っている」というもの。そのほか、「京阪電車が脱線した」「シマウマが脱走した」などのデマが拡散されている。
京セラドーム大阪のデマはヒビが入ったように見える写真がつけられているが、京セラドームには外側に階段があり、遠目で見ると亀裂のように見える。おそらく勘違いから始まり、誤解や思い込みで騒ぎが拡散されてしまったと考えられる。京阪電車のデマを時系列で追っていくと、当初「脱線するかと思った」という投稿だったのが、広まるに連れて「脱線した」というものになっている様子が見て取れる。
シマウマ脱走は、2016年3月の「三国ウエスト農場」からシマウマが脱走した時の毎日新聞の写真を利用しており、悪質なデマであることは明らかだ。同様に、2016年の熊本地震の際には「動物園からライオンが逃げた」という噂が広まったが、これは南アフリカ共和国で撮影された映画のワンシーンの写真を利用したデマだった。デマを流した神奈川県の20歳の会社員の男は、業務妨害罪で逮捕されている。
いずれも拡散され、Twitterのトレンド入りをしたものもあったが、ただのデマだった。震災時は不安で情報も錯綜するため、つい情報を拡散したくなるが、デマが広がると不要な心配が広がったり、他人に迷惑をかけてしまう。
そのほか、「外国人が窃盗などの犯罪を引き起こす」などの差別投稿も目立った。震災時にはこのような差別投稿が目立つ傾向にあるが、実際に起きたという事実は一切ない。信じて拡散に協力することは絶対に避けるべきだろう。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」