"ピザ注文"だけじゃない本当に実用的な音声アシスタントの使い道 - (page 3)

Brent Leary (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル2018年06月18日 07時30分

 Bank of Americaの最高経営責任者(CEO)であるBrian Moynihan氏によると、5月には45万人がEricaを使用し、同アプリは100万件以上の対話操作を記録したという。Ericaが当初提供するのは比較的簡単なタスクだが、今後顧客にとって何が重要なのかを学習し、より複雑なタスクを実行して顧客体験を向上させていくという。

「Suki」:医師向けのAlexa

 Sukiは医師向けのAI音声デジタルアシスタントで、骨の折れる医療記録の作成を簡略化することが主な狙いだ。Sukiを利用することで、医師は文書作成ではなく患者の治療に多くの時間を費やせるようになる。2000万ドル(約22億円)の資金を調達(リード投資家にはSalesforceのMarc Benioff氏らが名を連ねる)したことを先頃発表した同社は、Appleや23andMe、Google、Salesforce、Oracleといった有力企業の製品開発経験を持つエンジニアやテクノロジストと、臨床医で構成される。

 同社のプレスリリースによると、Sukiは日常業務の負担を軽減できるよう、個々の医師に応じてカスタマイズでき、規模の拡大にも対応できるという。一方、医療記録の正確性を維持するために多額の資金を投じてスタッフを雇ったとしても、記録が常に正確であるとは保証されない。同社創業者のPunit Soni氏は、次のようにSukiの機能を説明する。

 「Sukiはこれまでの医師の診察傾向と臨床診療のガイドラインに沿って、医師と患者の会話をもとに可能な治療計画を提示することができる。医師がSukiに対して、『この患者はインフルエンザの疑いがある』と伝えると、Sukiは自らその会話内容を適切な書類に記録し、その医師がインフルエンザの疑いのある患者を治療する通常の方法に基づいて、治療計画を提案する。医師が薬を処方する場合、Sukiは医療記録システムを通してその処方を準備し手配する」

 これらの事例を見ると、現在進んでいる「パーティーの出し物から実用的な用途への移行」を体現するプロジェクトが急増していることが分かる。各分野の現場で実務に携わる専門家がこの移行を率いる必要がある、とJeff Nicholson氏は示唆していたが、医療や銀行、高齢者の生活、政府サービスなどの分野で今起きていることが、まさにそれである。これら全てのプロジェクトのおかげで、音声アシスタントがやがてキャズムを乗り越え、生活の最も重要な分野でメインストリームに到達する時代がやってくるかもしれない。現在進められている取り組みの多くはベータプロジェクトなので、われわれはまだ黎明期にいる状態だ。そして、プライバシーやセキュリティといった重要な懸念(消費者と企業、両方の観点からの)を完全に払拭し、徹底的にテストする必要もある。だが、われわれはその方向に向かって進んでいる。音声アシスタントに理髪店に電話してもらい、次の散髪の予約を取ってもらうのが今から楽しみで仕方がない。

筆者とGreenberg氏、Nicholson氏との対談

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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