“現金不要”で同人誌が買える--キャッシュレス限定の即売会「pixiv MARKET」 - (page 2)

 現金管理の手間が省けるpixiv PAY。販売側となるサークル参加者に話を聞いたところ、「今後のイベントでも積極的に導入したい」という声が聞かれた。一方で、pixiv PAYの知名度が高くないため、導入をためらう声もあった。

 この知名度について、ピクシブ クリエイター事業部部長・ピクシブマーケティング 執行役員の重松裕三氏は、「pixivPAYを広めるためにpixiv MARKETを開催した」と語る。pixiv PAYのプロダクト責任者である重松氏は、「コミックマーケットのような大規模即売会にいきなり導入してもらうのは難しい」としつつ、「小さいイベントで全員使っているという状況を生み出したかった」と、今回のイベント開催の意義を述べた。

ピクシブ クリエイター事業部部長・ピクシブマーケティング 執行役員の重松裕三氏
ピクシブ クリエイター事業部部長・ピクシブマーケティング 執行役員の重松裕三氏

 また、同人誌即売会でキャッシュレス決済を実現する場合、「Suica」などの電子マネーや、クレジットカードを使用した方法も用意されている。しかしながら重松氏は、「Suicaやクレジットカードは決済端末の初期投資費用がネック」とし、端末とアプリがあれば誰でも簡単に決済できるpixiv PAYのメリットを強調した。

 一方で、課題も見える。pixiv PAYではクレジットカードを使用した決済が主となるため、購入時の操作ミスなどに起因する払い戻しの手続きが煩雑となる。また、端末からサーバと接続する必要があるため、通信環境の確保も必須となる。同人誌即売会では多くの参加者が集まる関係上、特に大規模即売会ではネットに繋がりにくい状況も生まれる。いくつかのサークルが不満点として挙げていた問題だが、重松氏は「オフィスからサポートをできる体制を整えている」とするに留めた。

 3000人以上が来場したというpixiv MARKET。重松氏は「想定通り、もしくはそれ以上」と笑みを見せた。ただの決済手段ではなく、サークルから同人誌の購入者へメッセージを送る機能もあるpixiv PAYは、従来の同人誌即売会へ変革をもたらすアプリとも言える。課題点はあるものの、「これからどんどん広がっていくのかな」と語った重松氏の言葉通り、今後の同人誌即売会に新風を吹き込むことを期待したい。

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