「なぜCambridge Analyticaの不祥事で誰も解雇されないのか」
Recodeがカリフォルニア州で主催した「Code Conference 2018」のインタビューセッションにFacebookの最高執行責任者(COO)Sheryl Sandberg氏と最高技術責任者(CTO)Mike Schroepfer氏が登場すると、最初に投げられた質問がこれだった。
Cambridge Analyticaは2016年の米大統領選でトランプ陣営が利用していたデータ分析企業で、8700万人分に上るFacebookプロフィールからの個人情報をユーザーの同意を得ることなく取得していたことが数カ月前に発覚している。
Sandberg氏は、この不祥事の責任はFacebookの経営陣にあるとしながら、最高経営責任者(CEO)Mark Zuckerberg氏と同じく、Facebookも被害者だとの見解を示した。「不正に対するフォーカスが足りなかった」「後になってみれば、こういうことが起きるのは明らかだった」(Sandberg氏)
登壇した両氏は、人工知能(AI)を使って不正を検知し偽アカウント5億8300万件を無効にするに至った詳しい経緯や、再発を防止するために社内文化をどう変えるかを繰り返し語った。
Facebookは不祥事について至る場で謝罪し、対応を説明している。Zuckerberg氏自身もここ数カ月間、欧州連合(EU)の欧州議会との会合に臨み、米国議会の公聴会にも出席し、さまざまなメディアの取材に応じてきた。
「われわれは過ちから学び、行動する」「この点については謙虚でありたい」(Sandberg氏)
問題視されているのは、これがFacebook史上最大の情報漏えい事件だったことだけではない。3年前にユーザーの情報が不正に扱われていることを把握していながら、Facebookがアクションをとらなかったことも物議を醸している。
一連の対応は、不祥事の格好のケーススタディになる。Facebookは情報漏えいが発覚したとき、アプリ開発者とCambridge Analyticaにデータを削除したことを証明する書類に署名させただけで、その後の状況を追跡したり、問題を公にしたりはしなかった。そして、数年が経ってからこの問題を追って明るみにしようとした記者たちを提訴すると脅したものの奏功せず、ついに3月、The New York TimesとThe GuardianのObserverの2紙に報じられてしまうのをきっかけに事実を認めた。
2016年の米大統領選へのロシア介入疑惑でもすでにやり玉に挙がっているFacebookは、Cambridge Analyticaの不祥事を通して、利用者の懸念を拡大させてしまった。
「プラットフォーム上で起きることに技術企業が無責任な態度をとる時代は終わった」とSchroepfer氏も謝罪した。
信頼を取り戻すための一環として、Sandberg氏は広告無しの、有料版Facebookを提供することを検討中だと述べた。
また同氏はCambridge Analyticaの不正行為に端を発した問題に対処しようと努力しているが、被害の程度は計り知れないと認めた。
「脅威を見つけるための投資がもっと必要だと分かった」「わたしたちは、今日抱えている問題を把握し、責任を感じ、利用者を保護する必要があると分かったうえで、ここに座っている」(Sandberg氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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