Facebookの最高経営責任者(CEO)であるMark Zuckerberg氏がベルギーに赴き、欧州連合(EU)の欧州議会との会合に臨んだ。議会では、(Donald Trump大統領の勝利につながったとする意見もある)2016年の米大統領選におけるロシアの干渉から、8700万人分の個人情報が英政治コンサルタント企業(現在は廃業)のCambridge Analyticaに不正に利用された問題にいたるまでのあらゆる話題が取り上げられ、議会幹部らは不快感をあらわにしていた。
欧州議会のAntonio Tajani議長は現地時間5月22日、「これは、われわれの基本的価値に対する攻撃だ」「これが二度と起きないように防止する必要がある」と述べた。
4月には米議会で、2日間にわたって10時間以上の追及を受けたZuckerberg氏は、政治関係者、投資家、広告主、そして22億人のユーザーに対し、そのデータを同社が保護できると再び信頼してもらうための努力を続けている。
「われわれの責任を十分に広い視野で把握できていなかった。それは過ちであり、申し訳なく思う」とZuckerberg氏は22日、欧州議会で述べ、「私がFacebookを運営する限り、広告主や開発者がそれよりも優先されることは決してない」とした。
欧州議会の幹部らは、会合が始まってすぐに同氏を非難し、45分間にわたって、Zuckerberg氏に落ち着いて回答する時間も与えず、次々と質問を浴びせかけた。
ある幹部は、FacebookがCambridge Analyticaの問題を3年前に把握していたにもかかわらず、最近まで認めていなかったことを指摘した。またある幹部は、Facebookのデータ収集が蔓延していることを指摘した。ナチスのプロパガンダを許容する言論の自由に関する懸念を示す声も上がった。
ベルギーの政治家であるGuy Verhofstadt氏は、Facebookが欧州の独禁法に抵触している可能性を示唆した。Facebookの「Messenger」と「WhatsApp」が、世界で最も人気の高いメッセージサービスに含まれることを、 特にその理由として挙げた。同氏は、独占状態にあるかどうかを検討するために、Facebookの会計帳簿を欧州の規制当局に開示することを求めた。「『自分たちで修正する』と言うだけでは十分ではない」(同氏)
一方、英国のNigel Farage議員はZuckerberg氏に対し、同プラットフォームから政治的偏りをなくし、透明性を確保することを求めた。極右ではなく主流の政治的見解を持つ右寄りのFacebookユーザーが、「故意に差別を受けている」と同氏は述べた。
「Facebookが現在、すべての考え方を受け入れて公平に運営されるプラットフォームではないことを認めるか」とFarage氏は問いかけた。「国際的な場で法規制を求めるつもりはないが、ソーシャルメディアの権利宣言が必要ではないかと考え始めている」(同氏)
Zuckerberg氏は、ヘイトスピーチ、テロ、暴力は「われわれのサービス上で決して許されない」と主張した。また、例えばISISによるコンテンツをほぼすべて検出する、人工知能(AI)ツールを同社が構築していることや、いじめや自傷行為の可能性を検出するFacebookの能力が高まっていることを述べた。
「決して完璧になることはできない」とZuckerberg氏は議会幹部らに対する回答の中で述べ、「特に選挙という点での当社の敵対者、つまり干渉しようとする者たちも、当社が使うのと同様のAIツールにアクセスできる。したがってそれは激しいせめぎ合いとなり、われわれは一歩先にいられるように絶えず取り組みを続けていく」とした。
Zuckerberg氏は22日、欧州議会幹部らに対し、同社は、オンライン上の悪質な行為、ヘイトスピーチ、選挙干渉への対策を強化するために、欧州の12都市で3000人の従業員を新たに雇用すると述べた。Facebookは米国でも同様の取り組みを進めており、2018年末までにセキュリティおよび投稿監視スタッフとして新たに1万人を雇用することを約束している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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