Intel傘下でイスラエルを拠点とするMobileyeが、自動運転技術を提供する大型契約を獲得した。
Reutersによると、欧州に拠点を置く自動車メーカーの車両800万台に、Mobileyeの自動運転技術が搭載される。
契約の金銭的条件は明らかにされていない。Mobileyeで先行開発および戦略担当シニアバイスプレジデントを務めるErez Dagan氏はReutersの取材に対し、この契約はMobileyeの「EyeQ5」チップの量産体制が整う2021年に履行される予定だと述べた。
EyeQ5は、EyeQ4のアップデート版となる。EyeQ4は数週間中にリリースされる予定だ。
契約した企業については明らかにされていないが、Mobileyeがこれまでに行った取引で最大規模となる。
Intelは2017年に、自動運転車向けの技術開発を専門とするMobileyeをおよそ153億ドル(約1兆7000万円)で買収した。
Mobileyeの最高経営責任者(CEO)を務めるAmnon Shashua氏によると、同社は2019年末までにMobileyeの技術を搭載した自動運転レベル3の自動車10万台超を路上に送り出すことを見込んでいる。
Reutersは、Mobileyeが「EyeQ4」チップを搭載したFordの「Fusion Hybrid」で、レベル4の自動運転技術もテストしていると報じている。テストにおいて、これらの車両はエルサレムの公道をドライバーの誘導なしで走行した。レベル4のシステム向けの生産は2021年に開始する見通しだ。
Shashua氏はIntelのプレスリリースで次のように述べた。「エルサレムは運転が荒いことで知られている。路面標示は完全ではない。道路の合流地点は複雑だ。人々は常に横断歩道を渡るわけではない。従って自動運転車が、慎重すぎる速度で走行したり、交通渋滞を引き起こしたりして、事故を起こすことがあってはならない。積極的な運転をして、現地のドライバーのように素早く判断する必要があるのだ」
IntelとMobileyeは100台の自動運転車を所有している。これらの車両は現在イスラエルの交通状況の中でテストを実施しているが、両社は数カ月中に米国やほかの地域にも拡大する計画だ。
Mobileyeは、プロセッサの脳と連携する車両の目としてカメラに重点を置いているという点で、多くの競合他社と異なる。
Mobileyeは高度なカメラの開発を進めることにより、カメラのデータから道路利用者、運転可能な経路、信号の状態を感知し、高精細な地図をリアルタイムで作成して、通常の車両制御も可能にすることを目標としている。同社はこれにより、センシングに「真の冗長性」をもたらすという。
「真の冗長性によって、2つの大きな利点が得られる。まず、認知システムの検証に必要なデータ容量が大幅に低減(10億時間に対し、10億時間の平方根)することだ。それに、独立したシステムの1つに障害が発生した場合も、すぐに運転を停止する必要のある低水準の融合システムを搭載した車両とは異なり、安全に運転を続けることができる」(Shashua氏)
EyeQ4プロセッサ向けには2018年に4件のプロジェクトが計画されており、2019年にはさらに12件のプロジェクトが予定されている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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