生活習慣病の発症リスク予測技術を活用--NTTデータら保険会社と無償トライアル

 NTTデータと日本電信電話(NTT)は5月16日、NTTの生活習慣病の発症リスク予測技術を保険業界で活用すべく、保険会社の商品開発や加入時の査定、加入後の健康改善などにおける有効性を検証するため、無償トライアルに賛同する保険会社を募集している。

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 両社によると、現在日本では健康寿命の延伸を目指し、さまざまな予防・健康づくりの取り組みが行われているという。特に生活習慣病は、医療費の増大や企業における従業員の生産性低下などをもたらす社会問題となっており、発症予防に向けた個人の生活習慣の改善や健康リスクの把握が求められている。

 そこでNTTは、AI関連技術(corevo)のひとつとして、不均質および、希少なデータであっても、高精度な分析が実現可能な手法を確立。健康診断で得られたデータをもとに、将来の生活習慣病の発症確率の予測を実現した。

 なお、健診データの分析では、継続して受診していない場合のデータの抜け漏れや、一定期間のみ受診結果を保有している場合の期間限定のデータ、数少ない疾病の発症を扱う場合の少量のサンプルデータなどにおいて、高精度なデータ分析を実現するには課題があった。

 NTTでは、不均質および、希少なデータであっても、高精度な分析を実現するため、データ保有期間の短い未発症者のデータも用いたランキング学習を行い、健診データをもとに生活習慣病(糖尿病、高血圧症、脂質異常症)の発症リスクを予測する技術を実現。この発症リスク予測技術は、NTTデータが提供するヘルスデータバンクの一部利用団体における健診データ分析事業(約10万人×最長6年分)に適用された実績があり、高い予測精度が得られることを確認している。

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 保険会社は、健康改善などにおいて、将来に疾病を発症するリスクの算出を必要としている。発症リスク予測技術を活用することで、多量の健診データやレセプトデータを入手し分析する必要がなくなり、改正個人情報保護法で規定された要配慮個人情報への対応も不要となる。

 両社によると同技術は、保険業界における医療・健康データの活用が今後ますます進展していくにあたり、重要になると見込んでいる。

 保険会社とのトライアルでは、発症リスク予測技術を試用するための環境をNTTデータが提供。検証を希望する複数の保険会社と、予測技術の有効性を検証する。

 なお、2018年6月末まで保険会社の申込みを受け付けており、受付後に保険会社とNTTデータで検証計画を刷り合わせ、保険会社の準備する検証用データをNTTデータで預かり、予測技術を適用し、予測結果を保険会社へと返却する。また、予測結果に基づき、技術の有効性や導入へ向けた課題などを保険会社と共に検証する。

 両社は、生活習慣病の発症リスクの予測だけでなく、糖尿病の発症後の重症化予防も研究している。発症リスク予測についても、今回のトライアルの結果やニーズを踏まえ、対象疾病の拡大へ向け研究を加速させる予定。両社の技術を組み合わせ、2018年度中に保険会社向けサービスを開始する事を目指し、サービス開始後もサービス拡大を行う計画だという。

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