キー・フィーの譲渡を具体的にどのようなシステムで実現するかはまだ確定しておらず、現在プラットフォーム開発が進められているところだが、このキー・フィーによって自転車を取り巻く市場のいくつかを満足させることにもつながるかもしれない。カーリエ氏が「我々としては高品質な自転車をできるだけ長く乗ってほしいが、毎年新しい自転車を手に入れたい人もいれば、中古でいい人もいる」と指摘するように、キー・フィーの購入と譲渡の仕組みは、嗜好の異なる多くのユーザーにうまくフィットするとも考えられるからだ。
当然ながら、VANMOOF+の拡大には自転車自体の完成度も重要となるだろう。今回、取材のタイミングでSmart XとElectrified Xを試乗することができたが、24インチのSmart Xは電動アシストがないにもかかわらず、軽い力でぐんぐん前へ進んでいく。ハンドリングも軽快で、乗っている間は見た目の印象よりずっとコンパクトに扱える。Electrified Xは強力な電動アシストで、より長い距離をハイペースで走るのに向いている。が、そのパワフルさは都内の込み入った市街地では余剰に感じるときもある。Smart Xは軽量で、そういったアシストがない分、低速走行中心になる街乗りにより適しているだろう。
どちらも明らかに日本の街乗り軽快車とは異なる乗り味だった。価格帯から考えて、街のサイクルショップで1万円程度から入手できるいわゆるママチャリと比較するのはフェアではないが、Vanmoofにはママチャリのような手軽さがある一方で、ロードバイクのような剛性感とペダルを踏み込んだときの効率の良さがある。すれ違う人達の視線を少なからず感じるのも、所有感を満足させるエッセンスになっている。これなら毎日の通勤で最寄り駅との往復だけに使うのではなく、もう1駅、2駅先の駐輪場まで走ろうかな、と思うに違いない。週末には少し遠くまでポタリング(自転車散歩)に出かけたくなるかもしれない。
こうした気持ちを代弁するかのように、カーリエ氏はこう話した。「日本はあらゆるものがハイクオリティなのに、自転車だけがロークオリティだ。そこが不思議でたまらない。オランダは正反対で、他はダメだけれど自転車のクオリティだけは高く、買い物にも、ビジネスミーティングにも、みんな日常的に自転車を使う。日本ではママチャリのように、今は短い距離に自転車を使う機会が多いと思う。我々の目標は、日本のみなさんが街中をもっと速く、簡単に、長く走れるようにすることだ」(カーリエ氏)。
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