火星の岩だらけの地形は、探査ローバーの車輪には厳しい環境だ。そこで米航空宇宙局(NASA)は、空中を飛んで火星を探査することを考えている。NASAが視野に入れているのは、「Marsbee」と呼ばれるハチ型ロボットだ。
Marsbeeの機体はマルハナバチくらいの大きさだが、翼のサイズはもっと大きく、セミの羽と同じくらいだという。このハチ型ロボットは、通信ハブ兼充電ステーションとして機能する移動式基地から飛び立つことになる。
「暫定的な計算結果によると、マルハナバチにセミの羽を持たせれば、火星の大気中を飛行するのに十分な揚力を得られる」と、アラバマ大学ハンツビル校の航空宇宙工学技術者Chang-kwon Kang氏は述べている。
Kang氏のチームは日本の研究グループと共同で、火星での活動向けに設計されたロボットの構築とテストを行う計画だ。日本のグループは、地球の大気中を飛行できる「ハチドリ型マイクロエアビークル」をすでに開発している。Kang氏らはこのハチドリ型ロボットを、火星の大気を模した真空室内でテストする予定だという。
NASAは米国時間3月30日、「NASA Innovative Advanced Concepts」プログラムの一環として、25の初期段階の技術プロジェクトに研究費を助成することを発表した。Marsbeeはその1つで、ほかにも気球を使って地形を移動する技術や、自己集合する宇宙望遠鏡群といったコンセプトが選ばれている。
NASAは、「人間とロボットによる未来の探査ミッションに変革をもたらす可能性」を秘めた技術を選出したと述べている。同プログラムのフェーズ1を通過したコンセプトには、今後9カ月にわたっておよそ12万5000ドル(約1320万円)の研究費が支給される。各チームは自分たちのコンセプトにさらに磨きをかけ、その実現可能性を検証することになる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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