米議会下院の議員らは米国時間5月10日、「Secure Data Act」法案を提出した。この法案は、捜査当局や監視機関が企業に暗号化のバックドアを設けるよう強制することを禁じるものだ。こうした要求で最も知られているのは、米連邦捜査局(FBI)が2015年に、カリフォルニア州サンバーナーディーノで起こった銃乱射事件でテロリストが持っていた「iPhone」のロックを解除できるようにするソフトウェアの開発をAppleに求めた例だ。
捜査当局は長年にわたり、AppleやSignalなどの企業が「責任ある暗号化」(暗号化のバックドアを婉曲に表現したもの)を開発することを提案している。つまり、テクノロジ企業は暗号化技術で製品を保護するべきだが、犯罪捜査で必要とする政府機関にはアクセスを認めるべきだという考え方だ。
オーストラリアと英国の当局者も、企業にバックドアを設けるよう求めている。
しかし、セキュリティの専門家らはこうした措置について、長期的に見ればすべての人にとってセキュリティを低下させるものだと主張している。10日に提出された法案は、この主張に沿ったものだ。政府は、企業と同様に漏えいやサイバー攻撃に対して脆弱な場合がある。例えば、米国家安全保障局(NSA)がハッキングツールを盗まれたことで、2017年の「WannaCry」ランサムウェア攻撃につながった。
セキュリティの専門家は、政府が暗号化のバックドアを手に入れれば、その情報は盗まれることになると考えている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」